開幕目前 そこには「魔物」が棲むという 浅田真央、髙橋大輔、高梨沙羅たちへ12人の先輩アスリートからのエール オリンピック「努力で運を摑め」【後編】

実力差は紙一重だ

リレハンメル、長野、ソルトレークの3大会に男子スピードスケート代表選手として出場し、現在は衆議院議員の堀井学(41歳)は、「魔物は自分の心の中に潜んでいる」と言う。

「自信よりも周囲の期待が上回ると、魔物らしきものが現れてくる。例 えば、周囲の期待が100あって、自分の自信が50しかないと、魔物が現れて、『お前、大丈夫か?』と囁く。リレハンメルでは、期待に対して自信がはるか に上回っていたから、『みんな、俺を見ていろよ』という心境でした。会場でのウォーミングアップからスタート、そして勝利した後の観衆の声援まで具体的に イメージできていた。だから、銅を獲ることができたんです」

今度は金—長野五輪での勝利のイメージもできていた。しかし、大会直前に新型スケート靴であるスラップスケートが登場。堀井は従来の型にこだわって しまい、ほかの選手よりも順応が遅れた。結果、新しい靴での滑りに自信が持てないまま本番に臨み、結果は自己ベストに遠く及ばず終わった。

「自分の活躍を不安視する自分こそが、魔物の正体なのかもしれません。メダル候補ともなれば、実力差は紙一重ですから、心の中の魔物を力に変えることができる人、またそのための努力をしてきた人が勝利を手にするのだと思います」