日本文化の魅力を世界に広めるため、東京を文化・芸術都市に!

2014年02月04日(火) 舛添 要一

舛添 要一舛添レポート

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ところが、東京の中小河川の戦後史は、埋め立ての歴史となっている。戦後の東京では、戦争が生んだ大量の瓦礫を処理するために、それを外堀や中小の河川に投げ捨てて、埋めてしまったのである。当時の戦後の混乱状態では、そうする他に手がなかったのであろうが、今から考えれば残念なことである。

前回の東京オリンピックの頃には、次の埋め立てが始まった。高度経済成長に合わせ東京大改造に取り組む中で、京橋川や汐留川が首都高速の道路用地になってしまった。水運が終わり、トラック大量輸送の時代が幕を開けた。

第三の埋め立ては、東京の公害史と重なる。昭和40年代に入り、高度成長の負の側面として様々な公害がクローズアップされる中で、中小河川の水質悪化も問題となり、手っ取り早く解決するために上部にコンクリートをかぶせた。文字通り「臭い物に蓋をした」のである。

私の住む世田谷でも、水質悪化を契機として埋め尽くされた川に、現在では下水処理後の水を注入し、小川を甦らせているが、心地よい散歩コースとなっており、魚やザリガニなども生息するし、水鳥も飛来している。しかし、その人工の川も、環状7号線で寸断されてしまう。

埋められてなくなった川について、詳細な調査をして、水の流れを取り戻す試みができないかと考えている。河川の復活というのもまた、都政の課題の一つである。

音楽や美術に触れる機会が多いフランス

私がパリに留学した40年前は、若い留学生の大半は、画家や音楽家などの芸術家の卵たちであった。私のような社会科学を勉強する者は少なかった。当然友人たちの多くが美術学校やコンセルバトワール(国立音楽院)に通っていた。その影響で、門前の小僧よろしく、音楽や美術に触れる機会が多かった。

音楽家たちとは、毎晩のようにコンサートに行ったが、パリには大小、多数のコンサートホールがあり、しかもチケット代も安かった。セーヌ河を挟んで、私の家の対岸にシャンゼリゼ劇場があり、そこの会員になると、毎週土曜日の午前中(マチネ)に素晴らしい一流のコンサートを聴くことができた。むろん、安い。今の日本の貨幣価値になおすと、1,000円くらいだったと記憶している。

ルーブルをはじめ、多くの美術館があることも周知の事実であるが、これまた入場料が安い。40年前には、土曜日は入場料が無料であった。それは、働いているパリ市民に、仕事がない週末の土曜日のみ、美術館を無料で開放し、芸術に触れてもらいたいという配慮からである。平日は、外国からの観光客や富裕なフランス人が有料で入場すればよいという考え方である。

美術館でもコンサートでも、日本は、フランスに比べて入場料が高すぎる。もっと安価で、都民が容易に芸術にアクセスできる手を考えなければならない。パリでは、コンサートの開始が夜8時頃、終了時間が11時頃というのが多い。

パリは東京に比べて小さい街なので、地下鉄などを使えば、市内の移動にはさほど時間はかからない。コンサートの後に、夜食を食べに行くフランス人も多い。東京の場合、広大な地域なので、たとえば、自宅が八王子以遠などにあると、コンサートの終わる時間が遅いと帰宅できなくなってしまう。だから、開演時間を6時半とか7時とかにして、帰宅の足を確保しているのである。

上野には、美術館、博物館、コンサートホールなど、芸術施設が集中している。東京文化会館も2年後にリニューアルである。東京から日本文化の魅力を世界に広めていくためにも、上野を文化・芸術拠点の一つとして、さらなる都市改造を進めるべきであろう。

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