メディア・マスコミ
海外ウェブメディアにおける2つのトレンド---大手メディアからの独立と定額課金
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海外ウェブメディアの動向を見ていると、大手メディアから独立し、個人またはパートナー企業とのメディア立ち上げが目立つようになっている。また、別角度からのトレンドとしては、マネタイズ面において大手新聞メディアはもちろんのこと、新興メディアも定額課金への実験や挑戦が行われている。

昨年末に、大手メディアの「Digital First Media(デジタル・ファースト・メディア)」が、日刊紙75紙すべてで課金システムを導入することを発表した。このことは大きな話題をさらったが、この記事では新興メディアのチャレンジに目を向けてみる。さっそく、大手メディアからの独立、そして課金メディアという2つのトレンドについて見ていこう。

34000人以上の有料購読者を抱える「The Dish」

まず紹介するのは、政治ブログメディアの「The Dish」だ。前身は「The Daily Dish」というブログで、アンドリュー・サリバン(Andrew Sullivan)氏が主宰していた(「The Daily Beast」傘下に入っていた)。

サリバン氏は、1963年イギリス生まれの著名な政治ブロガーだ。ファーストキャリアで「The New Republic」の編集者を務め、2000年頃からブログを書き始めた。彼の書く政治ブログがたちまち人気となり、「Time Magazine」や「The Atlantic」などのメディアに寄稿するようにもなった(The Atlanticではサイト全体の30%ものトラフィックを1人で稼いだこともある)。その後は、「The Daily Beast」で活躍していたが、2012年末に、メディアごと独立することを発表した。

The Daily Beast時代には一般的な広告でのマネタイズを採用していたが、独立を機に、課金メディアとして運営していくことに。具体的には、年間購読では19.99ドル、月間購読では1.99ドルという価格設定で有料読者を集めるというマネタイズだ。

一応、定額となっているが、課金する読者の方でも値段が設定できる。課金システムの導入にあたっては、エスクァイアやコスモポリタンなど有名誌も導入している「Tinypass」というソフトウェアスタートアップのシステムを採用している。

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この課金の取り組みをスタートしてから、いまでは1年以上が経った。2013年末には、ブログのエントリーで1年目の挑戦について振り返っているが、34000人以上の購読者を抱え、課金額が約85万ドル(約9,000万円)を超えるメディアとなったことが書かれている。

今年1月のデータもすでに出しており、最初の2週間で49万ドル(約5,000万円)の課金売上を誇っている。グラフを見る限り(上記ブログエントリー参照)、年末年始での登録者が多いことが分かる。インターンを含めた約10名体制で運営しているブログメディアであり、コンテンツにどの程度予算を割いているのかは分からないが、新興メディアの課金の取り組みのベンチマークにはなりそうだ。

発信する内容については、政治に関する記事が多い。特に長文記事(ロングフォーム)やオーディオインタビューが人気となっており、課金以外にもマネタイズの手段として電子書籍も展開している。

大手新聞メディアでは読めないような切り口のオピニオンやコラムが読めることに加え、著名ブロガーであるサリバン氏のブログメディアの固定ファンもいるため、これまで紹介したようにうまくいっているのだろう。

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