田原総一朗【第2回】「正直というより、物忘れが激しく、あとで辻褄が合わなくなるから嘘を吐かないことにしています」

疑問を見つけ事実に迫る「ジャーナリスト」という仕事
田原総一郎氏と慎泰俊氏

⇒【第1回】はこちらからご覧ください。

癒着せず、ある程度話ができる関係が大事

慎: 田中角栄さんとの一件や官房機密費の話は、田原さんの信用を圧倒的に高めたと思うんですが、他にも信用を勝ち取るためにいろいろなことをされていると思います。ご自身のポリシーというのはありますか?

田原: まず、嘘を吐かない。嘘を吐かないというのは、正直だからじゃなくて、嘘を吐くと何が嘘だったか忘れちゃうんですよ。あとで辻褄が合わなくなっちゃうんです。つまり、正直というよりは、物忘れが激しく、あとで辻褄が合わなくなるから嘘を吐かない。

あとは、できる限り隠し事をしない。だから、スタッフには政治家に会ったことをほとんど喋ります。

たとえば石破茂さんは相当僕を信用していると思うんですよ。安倍晋三さんとはね、今はちょっともう少し距離ができていますね。その距離を縮めるか縮めないかという悩みはあります。やっぱり安倍さんのやったことについても僕は批判しますから。安倍さんがいちばん僕に対して「この野郎」と思ったのは、特定秘密保護法案の件だと思う。

田原: 僕はあれに反対で、反対派のみんなに言われてしょうがなくて看板の役割を果たしました。安倍さんから見れば「この野郎」と思ったでしょう。去年の夏前に会ったときに、僕は安倍さんに「僕は護憲派じゃないけれども憲法九条一項は守るべきだと思う。だから、あなたが憲法九条一項を変えるとなると大反対する」と言いました。

それで「タカ派なのはいい、日本の政治家でよくやった人は岸信介、中曽根康弘、小泉純一郎と、大体タカ派だ。だけど、あなたの友だちは右翼が多い。右翼はダメだ。あなたは右翼が好きなんだろうけど、総理大臣である間は個人的な趣味は控えるべきだ」と言いました。やっぱり、そういう意見に対しては半分くらいカチンときているんじゃないですか?

慎: それで関係が遠のいたというのはわかりましたが、近づけるかどうか悩んでいるというのはどういう意味ですか?

田原: だって、やっぱり取材をしたいし、知りたいわけですよ。知るためにはある程度話ができる関係というのがやっぱり大事なんですね。だけどそのために癒着になっちゃいけません。ここが難しいところなんです。

だから、たとえば佐高信なんて人がいて、僕に対する批判をタイトルにした本を2、3冊書いています。だけど、一昨年、僕と対談で本を出そうと言ってきて、それで毎日新聞社から実際に本を出しました。そういう関係ってあるんですね。

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