籾井新会長の登場により露呈したNHKというシステムの矛盾
HNK ONLINEより

商社出身者として期待された国際感覚はない

ジャーナリスト集団でもあるNHKのトップが、自ら新聞の1面ネタになるとは、一体どういうつもりだろう。三井物産元副社長でNHK会長に就いた籾井勝人氏(70)が、1月25日の就任会見で口にした言葉が物議を醸している。

「従軍慰安婦『どこの国にも』 韓国の補償要求を疑問視 NHK新会長、後で取り消し」(1月26日付、朝日新聞)

「NHK新会長が韓国批判 慰安婦問題『解決済みを蒸し返し』」(同、産経新聞)

「NHK会長 慰安婦『どこの国でも』 秘密保護法は『通ったこと』」(同、毎日新聞)

NHKが抱える問題点については何度か指摘してきたが、まず畑違いの財界人が会長を務めるのは、誰が考えたって難しい。それが露呈した形だ。餅は餅屋。公共放送や報道機関が何であるか分かっていないと務まらない。

1988年、やはり三井物産出身で会長まで務めた池田芳蔵氏が、財界出身者として初めてNHK会長に就任すると、国会などで意味不明瞭の発言を繰り返し、わずか9ヵ月で辞任を余儀なくされた。後輩である籾井氏は不名誉な記録を塗り替えてしまうのかも知れない。

籾井発言は、たとえ三井物産経営陣の立場として口にしても波紋が広がっただろう。

「戦争地域にはどこの国にもあった。ドイツにもフランスにもヨーロッパはどこでもあった」

「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」

「韓国が『日本だけが強制連行した』と言っているからややこしい。補償問題は全部解決した。なぜ蒸し返すのか」

三井物産にとっても韓国は大切な取引先国の一つであり、100%子会社の現地法人・韓国三井物産は20年以上の歴史を持つ。籾井発言により、韓国と物産の関係にヒビが入りはしないかと心配になるぐらいだ。籾井氏には、商社出身者として国際感覚を期待する声があったが、残念ながらその期待には応えられなかったようだ。

NHKトップは海外放送局の関係者と会談する機会が頻繁にある。発言の真意について説明を求める海外局もあるだろう。あまりにも思慮に欠けた言葉だった。

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