政治政策 地震・原発・災害
リアリティと実現性乏しい「脱原発」公約が一因?有権者4割が「態度未定」で大量浮動票奪い合う都知事選

「原発の問題以外は、誰が都知事になっても、たいして違いがない」と小泉純一郎元首相が細川護煕元首相に対する支持を訴えれば、安倍晋三政権の要である菅義偉官房長官が「都民は具体策のないスローガンだけの選挙にはうんざりしている」とけん制球を投げ返す──。掲げた公約の実現性が問われているのが、猪瀬直樹前知事の辞任に伴う今回の東京都知事選の特色のひとつだろう。

細川陣営が日本記者クラブ主催の共同記者会見に欠席する意向を伝えたために、恒例の候補者による討論会が開かれず、主張の違いとそれぞれの本気度が把握しにくいとの声も聞く。メディアの報道姿勢に神経質な安倍晋三政権下とあって、「べからず集」と揶揄される公職選挙法の規定に縛られて、委縮しがちな新聞、雑誌、放送の選挙報道姿勢に拍車がかかっている感もないとは言い切れない。

結果として、先週末相次いで公表された各紙の世論調査をみると、有権者の4割がまだ意思を決めておらず、大量の浮動票が残っているらしい。そこで及ばずながら、都知事選序盤の動向を、各候補者の公約に関する熟成度を中心にチェックしてみたい。

有権者の関心は「少子高齢化や福祉」「景気と雇用」「原発」の順

まず、全体の動向だ。有権者の都知事選への関心度は高い。毎日新聞の調査では、「大いに関心がある」が48.1%、「ある程度関心がある」が44.8%で、両方をあわせて92.9%が関心を寄せているという。

実際に「投票しますか」とたずねても、「2月9日の投票日に投票するつもり」が76.2%、「投票日より前に投票するつもり」が20.0%で、合計96.2%が投票する構えをみせている。

そこで、重視する公約を聞くと、1位が「少子高齢化や福祉」(26.8%)、2位が「景気と雇用」(23.0%)、3位が「原発・エネルギー問題」(18.5%)、4位が「災害対策」(12.9%)、5位が「東京五輪の準備」(7.7%)、6位が「教育」(5.8%)、7位が「政治とカネ」(2.5%)、8位が「その他」(1.2%)で、「分からない・無回答」も1.6%あったという。

これらの関心事を網羅する形で、幅広い政策を盛り込んだ公約を打ち出した舛添要一氏が序盤戦の闘いを有利に進めている模様だ。毎日新聞に限らず、先週末までに相次いで明らかになった共同通信、産経新聞、フジテレビ、日本経済新聞の4社の調査でもそろって、舛添氏が一歩リードしており、細川元首相、弁護士の宇都宮健児氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の3氏が追う展開になっている。

ちなみに、舛添氏は、元厚生労働大臣という経歴や母親の介護をした経験を前面に打ち出しつつ、「少子高齢化や福祉」や「景気と雇用」、「災害対策」、「東京五輪の準備」、「教育」といった有権者の関心を網羅する形の公約を打ち出した。

その柱は、「史上最高のオリンピック・パラリンピックで東京の魅力を世界へ発信」「大災害にも打ち勝つ都市」「安心、希望、安定の社会保障」「中小企業の育成と世界をリードする国際競争力のある産業・人材都市」「世界に通用する人材の育成と骨太の教育改革」「日本を支え、変える東京外交」「新たな政治主導モデルの実践」の7分野で、それぞれに細かい具体策を列挙する形になっている。

一方、公示前に、都知事選の争点として相応しいか否かの議論があった「原子力発電」の問題だが、有権者はこの問題を都知事選の争点として取り上げること自体には拒否反応を示していない。

ここでもう一度毎日新聞の調査をみると、「脱原発など国政に関わる問題が都知事選の争点になることをどう思いますか」との質問に対して、「納得できる」が21.4%、「どちらかといえば納得できる」が39.9%。両方合わせると61.3%と、「どちらかといえば納得できない」の24.5%、「納得できない」の11.1%の合計35.6%を大きく上回っている。

この結果、支持を広げているのが、細川元首相と宇都宮候補の2人と言ってよいだろう。

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