東電施設を都が買い取れば「脱原発」は進む!「神学論争」から脱し、都知事選は具体的政策論議を

東京都知事選がスタートした。小泉元首相が細川元首相とタッグを組んで、「即時原発ゼロ」を打ち出したが、選挙の序盤戦では、イマイチ盛り上がりに欠けているようだ。

細川氏が、街頭演説で「脱原発」ならぬ「脱成長」を言ってしまった。おそらく、一緒にいた小泉氏も内心のけぞっただろう。なにしろ、小泉氏は細川氏の出馬会見の時に、「原発なくても成長できる」と「原発なくては成長できない」の戦いと言い切ってしまったからだ。

ここで細川氏が成長なしでもいいと言ったら、原発はどうでもいいことになってしまう。だから、先週の本コラムで書いたように、小泉氏自身が都知事選に出ていればよかったのにと悔やまれる。

筆者は、税金を50億円も投入して行う選挙なので、原発の是非がまともな政策論争になってほしいと思っている。選挙は、政策論争のコンテストであり、出来不出来がすぐにわかる。

東電原発は7492億円。都の財政力で十分買える

原発再稼働は、原子力規制委員会が審査し、地元自治体の同意手続きがある。最近申請された中には東京電力の柏崎刈羽原発6号炉・7号炉が含まれているが、基本的には東京都知事は関与できる立場でない。都知事が何も手を講じなければ、泉田裕彦新潟県知事と共闘して、非同意に持って行く程度のことしかできない。これでは、単にスローガンを言うだけの活動家と同じになってしまう。

しかし、これにはいい例がある。石原元知事が、尖閣諸島を東京都が購入すると言ったら、民主党政権が尖閣諸島を国有化せざるを得なくなった。それと同じように、東京都が東電の原発を買い取ることを考えたらいい。

このアイディアは、先週の本コラムで提案した原発国有化と基本的に同じである。民間会社が所有するには原発はあまりにリスクが大きすぎるので、公的管理が必要である。その主体が国であっても地方公共団体でも構わない。

選挙・政治は結果を求める場だ。単に評論家のように原発再稼働すべきかどうかを議論しているだけではいけない。原発再稼働は神学論争になりがちなので、具体的な提案によって結果を出すべきだという点からも望まれる。

東電の原発施設(柏崎刈羽、福島第一、第二)の簿価は7492億円である。これから、東京都が東電の原発施設を買い取ることは決して絵空事ではないことを示そう。

世界中で原発保有国は31ヶ国あり、東欧圏などのあまり豊かでない国にも存在している。その点、東京都のGDPは韓国クラスであり、原発保有国の中で東京都よりGDPが少ない国は18ヶ国もある。原発を保有するために、東京都のフローの経済力は見劣りしない。

また、ストックの観点からも大丈夫だ。東京都は、複式簿記を早くから導入し、きちんとした財務諸表を作ってきた。これは石原氏がしばしば自慢していたところだ。東京都の平成24年度一般会計貸借対照表では、資産が29兆8809億円、負債が7兆8389億円となっており、国が債務超過であるのに対して、22兆420億円の資産超過となって、「超」優良財政だ。

資産超過であることからわかるが、各種の多額の基金がある。うまく対応すれば、借金なしで7492億円の原発施設を購入するぐらいの財政力は十分に有している。この点からだけ見れば、むしろ東京都のほうが、国より適しているとも思える。

東京都がカネを出すことで、原発政策はがらりと変わってくる。結論から言えば、買入価格と稼働期間の二つの組み合わせによって、ほとんどすべての対応を網羅できるのだ。それを以下に示そう。

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