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この先に待っているのは「戦争」 3ヵ国同時取材「嫌中」「憎韓」「反日」何でお互いそんなにムキになるのか?
日中韓激しすぎる憎しみの連鎖
週刊現代 プロフィール

長い歴史のなかで、どの国にも隣国との摩擦のひとつもあろう。だが互いに「死ね」「殺せ」と叫び合う現状は、やはり常軌を逸している。混迷の元凶は何か。

犬畜生の日本を滅ぼすなど簡単

〈戦犯の両手は侵略された国の人々の鮮血にまみれている。(中略)人を殺しても眉一つ動かさぬこうした悪魔に安倍がひれ伏して礼拝を捧げることは、人類社会の普遍的価値観に対する野蛮な反抗に他ならない〉

〈安倍晋三の頑迷な靖国神社参拝は、侵略戦争の確定判決を覆し、戦争犯罪人のために提灯を持つ行為だ。この思い上がった右翼政治屋は、次に何をしでかすのだろう?〉

いずれも年始に中国共産党機関紙『人民日報』に掲載された論評だ。

周知のように、日中関係及び日韓関係は、いまや最悪の状態だ。とくに、昨年12月26日午前に安倍首相が靖国神社を電撃参拝した後の、中国の反発は激しいものだった。中国メディアはこぞって「拝鬼」(鬼=日本帝国軍人を拝む)と報じ、安倍首相自身も、まさに鬼と言わんばかりの扱いだ。

ある中国要人によると、誰よりも烈火の如く怒ったのが、習近平主席だったという。

「安倍首相が参拝した当日は、習近平主席が最も尊敬する毛沢東主席の生誕120周年記念日だった。そのため習主席は朝から、天安門広場にある毛沢東廟を参拝していた。

習主席が参拝を終えて、リムジンに乗り込んだ時、同乗していた秘書官が『まもなく安倍が靖国を参拝します』と告げた。その瞬間、習主席が苦虫を噛み潰したような形相に変わったそうだ。このような晴れの日をブチ壊すように靖国を参拝した安倍を絶対に許さない、というわけだ」

保守強硬の論陣を張る新聞『環球時報』(12月28日付)は、安倍首相の靖国参拝を受けて行った緊急世論調査を掲載した。それによれば、「日本に釣魚島(尖閣諸島)問題で強硬に臨むべきだ」(74・6%)、「靖国神社に寄付する日本企業を制裁せよ」(67・7%)、「安倍を始めとする歓迎すべからざる人物を入国禁止にせよ」(59・9%)など、強硬姿勢を望む国民の声が目白押しだった。

加えて翌々日付の同紙は、専門家たちのこんな対日政策提案を掲載した。

「北方領土をチャイナ・マネーで買い占めろ」(金燦栄・中国人民大学国際関係学院副院長)

「小中学生を動員し、世界のVIPに日本批判の手紙を送れ」(楊毅海軍少将)

「戦争加害者である三井と三菱を中国国内で裁け」(李宗遠・中国人民抗日戦争記念館副館長)

批判の声を強めるのは一般市民も同じだ。日本大使館の微博(中国版LINE)に寄せられたコメントを見てみると—。

〈犬畜生の日本人はすべて殺せ!〉

〈悪魔よ、中国には数百万の軍、13億人の中国人、数百発の原爆、気化爆弾、中性子爆弾がある。日本を滅ぼすなど簡単だ!〉

〈安倍が戦犯にひざまずくなら、南京大虐殺記念館に戦犯・岸信介と東条英機がひざまずいている像を建て、世界の人々とともに唾を吐きかけよう!〉

一方の韓国でも、反日の気運は急速に高まっている。朴槿恵大統領自身、年末に大統領府で主宰した首席秘書官会議で、安倍首相の靖国参拝を念頭に「いかに経済力が大きく富強だったとしても決して一流国家の評価は受けられない」と切り捨て、新聞各紙の見出しにも激しい言葉が並んだ。

朝鮮日報は参拝当日の12月26日に「韓日関係は終わった」と見出しをうち、翌27日には「『軍国の心臓』を参拝」とした批判記事とともに、社説で「安倍首相の靖国参拝は時代錯誤的スキャンダル」と題して、次のように書いている。

「安倍首相は後戻りのできない橋を渡った。人に配慮しないでひたすら自身のことだけを考える排他的で独善的な極右強硬論者であることを、天下に告白した格好になった」

左派のハンギョレ紙は「やはり安倍総理は北東アジア不安の『禍根』だ」と題した社説で、「彼が口を開けば言う『積極的平和主義』が、実は『積極的略奪主義』であることも今回明確になった」と断じた。

ネット上でもやはり、
〈愚かなカミカゼ政治!〉
〈安倍のウヨクノミクスを大混乱に陥れよう!〉
〈安倍を暗殺するヒットマンになる民族の英雄は誰だ?〉
〈朴大統領はいますぐ独島(竹島)へ直行せよ〉

などのコメントが並び、ナチス・ドイツの象徴カギ十字を背景に、ヒトラーよろしくちょび髭を生やした安倍首相が演説する合成画像まで広まった。

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