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激論!「親子のDNA鑑定」「高齢出産」「体外受精」科学の進歩が、新しい苦悩を生む
声に出して言いにくい「日本の大問題」第1回 山折哲雄×二宮周平×田口早桐

全国民が考えるべきなのに、なかなかホンネで話せない「日本の大問題」を正面から語るシリーズ企画。第1回は、宗教学者、民法学者、産婦人科医が、科学の進歩で変化する「家族の形」を議論する。

「本当の親」を知りたいか

山折 今、大沢樹生さんと、16歳になるお子さんの関係が世間を賑わしているようですね。

田口 元・光GENJIの大沢樹生さんの16歳になる長男が、DNA鑑定の結果「実子である可能性がほぼ0%」であると診断されたと報道されています。女優の喜多嶋舞さんとの間に、いわゆる「デキ婚」で生まれたお子さんでしたが、これに対してお子さんのほうは大沢さんと自分が「99・9%親子」と話している。

山折 どちらにせよ、「本当の親子」かどうかをDNAで鑑定できるようになったことで、家族は新たな葛藤を抱えてしまった。科学の力が、知らずともよい事実を突きつけてしまったとも言えます。家族、とりわけ親子の形を決めるのは、血のつながりだけなのか。改めて問うニュースだと思います。

二宮 少し専門的な話になりますが、法律では民法772条の問題になります。この法律は、「婚姻中妻が妊娠した子を夫の子と推定する」と規定しており、妊娠してから婚姻の届け出をしたということであれば、夫の子と推定されていません。

ただし、判例、そして実務の上では、大沢さん親子のような「デキ婚」の場合、認知を要せず嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子供のこと)としての身分を取得する。そういう扱いをしています。

山折 つまり、お子さんは、法律上は大沢さんの嫡出子として扱われるわけですね。

今の報道で見逃されている点があります。重要なのは、大沢さんのお子さんが、大沢さんを「99・9%僕のお父さん」だと言っていることではないのか。これはお子さんの心の叫びですよ。子が親を親と思い、親が子を子と思う。それが根源的な親子の形でしょう。それをDNAの技術が侵し始めた。