白河桃子×青野慶久 ~サイボウズの"働き方革命"に迫る~
【第3回】「まず少子化を止めないことには、他の経済問題を考えても意味がない」

[左]青野慶久さん(サイボウズ株式会社代表取締役社長)と、[右]白河桃子さん(少子化ジャーナリスト)

【第2回】はこちらをご覧ください。

経営的な情報をすべて開示する

白河: 考えれば考えるほど、今の日本で女性活用のうまくいかないところが、サイボウズを参考にすれば解決されるのではないかと思います。でも、やっぱり、ある程度利益が出ている会社じゃないとできないことだな、とも思いますが・・・。

青野: 僕の理屈では、こうしたほうが、かえって利益が出ると思っています。持続的に、安定的に。それは松下を見ていても思うわけですよ。僕の松下の同期250人中女性はたった4人です。

白河: それも辞めちゃいますよね。

青野: いや、当時はそもそも入社できなかったんです。僕が入社したのは20年くらい前ですが。

白河: 94年というと、いわゆる本当の氷河期の始まりの頃ですよね。

青野: 多様性があるほうが実績を出せると思います。マネジメントができなくて、ただゴリゴリ働く人だけを採用しようと思っている会社は学生にも嫌われますし、優秀な人は入ってこない。どんどん落ちていくんだろうと思っています。

こういう働き方ができているのも社員がちゃんと働いて利益を出してくれるからで、利益が上がらなくなったらできないことです。だから売上が上がってないときは「売上高人件費率が55%まで上がりました」「そろそろ給料が上げられなくなりますよ」ということを言っています。自分の働き方や給料につながるので、売上が悪いと社員は危機感を持ってくれるんですね。

白河: 社員が経営的な視点を持っているということですか?

青野: 僕はそれを発信するのが自分の仕事だと思っています。「経営者しか知らない情報を持っておくことが経営者だ」というような考え方は古いと思っているから、逆のことをしたい。僕が持っている経営的な情報はすべて開示します。

白河: どんどん情報を発信すると、「これはちょっと、ヤバいよね」と社員の危機感も高まる。その結果、どういうことが起きるんですか?

青野: みんな「売上を上げよう」と思ういい循環ができてきます。開発担当者が「頼む、この商品で売り上げを上げてくれ」というと営業担当者にもいいプレッシャーがかかって「よし、頑張ろう」となるわけです。目標を達成した月は、「わー」って社内で歓声が上がります。

白河: みんなが死ぬほど働かなくても、自然にいい循環が生まれてくるわけですね。多分、死ぬほど働いているんだと思いますが、みんな好きでやっているわけですよね。

青野: ただ、当たり前のことですが、誰だって死ぬことは望んでいないと思うので、僕もそこは勘違いしてはいけないと思います。僕自身は勘違いしがちなんですけれど・・・。

イクメンの先輩に「青野さん、死ぬほど働きたいと思っているでしょう。死んだら、奥さんも子供も悲しみますよ。それ、分かっていますか?」と怒られることがあります。

白河: 「死ぬほど働きたい」というお気持ちをご自身で止めているわけですね。

青野: 僕は古い価値観なので、なかなか変えられないんですが、なんとか頭で理解しようとしています

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