1月14日、サントリーが、米国の大手蒸留酒メーカーであるビーム社を1600億ドル(約1兆6700憶円)で買収すると報じられた。その買収によって、サントリーは世界第3位の蒸留酒メーカーになる。
人口減少・少子高齢化が進む国内の経済環境を考えると、大型の企業買収によって世界市場に打って出ることの意味は大きい。今後、潤沢な手元資金を抱えるわが国企業のM&Aの案件は増える可能性は十分あるだろう。
サントリーは、今回のM&Aにかかる資金を手元資金約3000億円と、銀行借り入れ約1兆4000億円で賄うという。為替市場では、当該資金に関して多額の円売り・ドル買いが出るのではないかとの思惑が出ている。
わが国の人口動態を見ると、既存の製品に関して需要が伸びる余地は限られている。人口が減少していることに加えて、わが国の家計には多くの家電製品や家具などが溢れている。今ある製品を国内消費者に、これ以上のペースで打っていくことは至難の業だ。
しかも、90年代初頭のバブル崩壊後20年以上たった現在、わが国企業の財務内容はかなり改善しており、筋肉質の体質になっている。また、日銀の金融緩和策の影響もあり、企業の資金調達には十分な余地がある。
さらに、足元で景気の先行きに明るさが見え始めており、企業のリスク許容量も増えている。そうした状況を考えると、これからわが国企業の海外投資案件、特に企業買収のチャンスは増えることだろう。