AR三兄弟・開発者/川田十夢さん【第2回】
「この時代を生きる身として、新しいメディアを作る必要性を感じています」

写真:片岡和志 会場提供:アバッキオ

【第1回】はこちらをご覧ください。

時間をかけて密度を繋ぐ作家たち

川田 僕は、本当にこの時代を生きる身として、新しいメディアを作る必要を感じています。CDはもう売れないし、映画はもう見ないし。去年、佐渡島庸平っていう編集者と一緒に「トルク」っていう発明マネジメント会社を作りました。彼は同時に「コルク」っていう作家エージェントの会社(所属作家に、阿部和重、伊坂幸太郎、安野モヨコなど)を経営していて、そんな縁もあって、作家と話す機会が増えたんですよ。安野モヨコさんとか旦那さんの庵野秀明さんとか。

米田 そう。その会社設立についても聞きたかったんです。

川田 庵野秀明さんとも、短い時間ではあったけど、わりと重要な会話を交わしたような気がしてて、やっぱりあぁいう人達はソシャりもせずに、世の中に作品を出す前に、ガーっと密度を高めていく時間が保てているのだろうなと。

米田 日々懊悩しながら前にジリジリ進んでモノ作ってるわけでしょ?

川田 それも1年、2年の単位じゃないわけですよ。そういう時間経過がないと、"密度の繋ぎ"にならないんじゃないかって。もちろん扱ってるものにも依るし、時にソシャってないとわからないものもありますけどね。

米田 うん。僕も最近それをすごく難しいなと感じていて。最近すごく言ってるんだけど、「自己言及クリエイター」がものすごく多くなったなと感じるんです。川ちゃんもそうだし、僕もそういうところはあるから何とも言えない部分はあるんだけど。時代の流れでそうなっていると思うし、自分で自分を説明しないといけないっていうのは、少なからずあると思うんですよ。

だけど、本当は説明しない方がいいんだよね。誰かが価値を発見してくれたり、意味を翻訳してくれるようなインパクトのあるものを時間がかかってもいいから出すべきだっていう風に思うんです。

また、映画の話で申し訳ないんだけど、『クラウド・アトラス』っていうウォシャウスキー兄弟の映画を見たんだけど、『マトリックス』で世界を変えて、いつの間にかウォシャウスキー兄弟の兄貴の方は性転換して女になっていて……。

川田 あれ、びっくりしましたよね。髪の毛も赤くなってるし。

米田 そうそう(笑)。完全におかしなことになっていて……。で、どんなことを考えて、どんなもの出してくるのだろうって思ってたの。そしたら、もう衝撃的だった。

川田 しょぼかったの?

米田 いや、逆にすごかったの。さっきの棚の話じゃないけど、軽々と予想を越えていた。

川田 えー、それはすごいな。俺ね、米ちゃんの映画情報は超信頼してるんだよね。この人の映画情報、ほんとにヤバい。

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