国境をなくすのは"言うは易く行うは難し"!? 外国人労働者を巡る議論が炎上するドイツの実状

2014年01月17日(金) 川口マーン惠美
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〔PHOTO〕gettyimages

それなら真の問題は、ルーマニアやブルガリアには、同じ国籍でも一緒くたにできない2種類の人間がいるということの方ではないか。つまり、社会保 障費が荒らされる原因は、ドイツやEUの構造の中にではなく、実は、ブルガリアやルーマニアの国の中にあるのではないか。大昔からの差別の連鎖が放置され、いまだに満足な教育も受けられず、就職さえできない人たちがいるのに、なんら問題はないかのように振る舞っている国の体質こそが問題なのではないか。

しかし、それを誰も公言できない。ロマの問題は存在しないというのが、彼らの公式の見解である。結局、ドイツは何も言わない。EU内で敵を作ることは得策ではない。

国境を無くすことは、口でいうのは簡単だが、とても難しい。経済格差のあまりない国同士ならうまくいくかもしれないが、EUの古参国と新参国では、経済程度はもちろん、社会構造もかなり違う。

本来ならば、労働力の自由な往来よりも、出稼ぎに出なくてもよいよう、脆弱な国の経済や内政の整備に力を貸し、国力を高める手助けをするほうが、長期的に見ればずっと建設的だし、しかも、人道的だと思う。しかし、これもまた言うは易く行うは難しなのである。

 

著者: 川口マーン惠美
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