本当に「クリーンな殿」なのか!? 東京都知事選立候補で再浮上した細川護煕元首相「佐川マネー1億円」の根源的問題
伊藤 博敏 プロフィール

細川護煕元首相が小泉純一郎元首相の支援を受け、2月9日に投開票される東京都知事選挙の最有力候補に躍り出た。

肥後熊本藩主だった細川家18代目の「殿」はこれまで、側近に根回しを任せ、有力支援者の同意を取り付けて出馬、クリーンなイメージで有権者の心をつかんできた。16年ぶりに政界復帰する今回も同じである。

細川政権で首相特別補佐を務めた田中秀征・元経済企画庁長官、元首相秘書官の成田憲彦・駿河台大学前学長などがブレーンとなり、〝耳ざわり〟のいい「反原発」で小泉氏と共闘する。支援するのは、細川氏が立ち上げた日本新党出身の海江田万里・民主党代表、非自民8党派をまとめて細川首相誕生を主導した小沢一郎・生活の党代表らである。「昔の名前」が多いとはいえ、細川氏の〝必勝パターン〟が用意されている。

熊本県知事時代から囁かれた「ズブズブの関係」

その細川氏に冷水を浴びせかけているのが、渡辺善美・みんなの党代表や深谷隆史・自民党東京都連最高顧問である。

「今回の都知事選挙は、猪瀬直樹知事が5000万円を受け取ったというところから始まったが、細川護煕元首相が辞めた時は億単位だった。佐川急便から借りたのか、もらったのかよくわからないが、そういう問題で辞めた方がどういう公約をもって都知事選に臨むのか」(渡辺氏)

「(佐川急便から提供を受けた1億円は)要は、彼が昭和58年の熊本県知事選挙に出馬する直前に借りた政治資金であった。明らかに政治資金規正法違反、または税の対象となる問題であった」(深谷氏)

確かに、20年前に国会を揺るがせた細川首相への「佐川マネー1億円」は、昨年末、猪瀬氏を退任に追い込んだ「徳洲会マネー5000万円」と相似形である。

細川氏は当時、「個人的な借り入れでマンション購入資金などに使い、全額を返済した。一部だが領収書もある」と主張していたが、深谷氏は、今回改めて、「国政調査権を使って、細川氏の資金の出し入れを調査すれば、返済の有無を確認できたのだが、その動きを察知した細川氏がその前に退任。全容解明には至らなかった」という〝秘話〟を、自身のブログで公開している。

こうした「反細川」の論評に対し、「昔話を蒸し返してどうなる」と批判する向きもあるのだが、「クリーンな殿」の裏に、スポンサーからの金銭的支援を遠慮なく受け入れ、鷹揚にカネを処理する側面があるのは、本人が復帰した以上、伝えるのが筋だろう。

私は、「佐川マネー1億円」が国会で紛糾している最中の1994年初頭、熊本へ飛んで、県知事時代の細川氏と佐川急便が「ズブズブの関係」であったのを突き止め、『週刊ポスト』(94年2月11日号と2月19日号)で記事にしたことがある。

佐川急便が、熊本県阿蘇町に野球場、テニスコート、多目的グラウンドなどを設けた温泉付き保養所の「ASO佐川ビレッジ」を企画したのは、89年末ごろだった。計画は、後に発覚した東京佐川急便事件などによって中断したが、国立公園の阿蘇に、かかる施設の建設が計画されること自体、熊本県知事の細川氏と佐川急便との親密な関係を抜きに考えられなかった。

私の取材に、当時の阿蘇町長は、「地域振興に役立つことじゃけん、歓迎したい気持ちはあった。でも、あそこは国立公園でも開発が難しい第3種特別区域ですもんね」と、認可が困難であることを認めつつ、こう語ったのだった。

「もし認可が下りるとしたら、細川さんの力しかないと思うとりましたな」

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