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首都直下M7.3巨大地震あなたと家族が生き残る、たった「五つのルール」「死者2万3000人」の政府シミュレーションは甘すぎる

年の瀬に政府が発表した、首都直下地震の被害想定。意外に小さな数字に、そんなものかと安心してしまった人も多いだろう。だが、それは大間違いだ。生き残る術を考えておけるのは、今しかない。

この想定は小さすぎる

「いや、これはもう勘繰りでもなんでもなくてね。東京オリンピックに向かって国際的な不安を起こしたくない。そういう想定になっているんですよ」

こう話すのは、関西大学社会安全学部の河田惠昭教授だ。「そういう想定」とは、内閣府が昨年12月19日に公表した、新しい首都直下地震の被害想定である。

東京・大田区付近の直下でM7・3の大地震が起こった場合などを想定し、最大死者約2万3000人、倒壊・焼失する建物は約61万棟、経済的損失は約95兆円とされた—。ここまではテレビや新聞で目にした方も多いだろう。

「去年3月に公表された南海トラフ巨大地震の被害想定では、『あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震の被害』を出していました。

ところが、今度の首都直下では、『現実的に一番、起こりそうな被害』を考えている。3・11の教訓を忘れたかのような書きぶりの報告書では困るんですがね」(河田氏)

南海トラフ巨大地震の被害想定ではM9・1、死者32万人、経済的損失220・3兆円とされた。それに比べて2万3000人という今回の数字はインパクトが薄く、あまり深刻に受け止めなかったという声も多い。

だが、超過密都市・東京のすぐ足下で巨大地震が発生するのに、被害がそれだけで済む、などということが本当にあるのか。

実は、今回の内閣府の想定をよく読むと、数々の重大な危険が「想定」されているにもかかわらず、数字のうえでは算入されず、隠れてしまっているのだ。

たとえば、東京ドームのような「大規模集客施設」、新宿駅や渋谷駅のような「ターミナル駅」、「地下街」の想定では、

〈多くの利用者が滞留した状況下において、停電や火災の発生、情報提供の遅れなど複数の条件が重なることにより、利用者の中で混乱、パニックが発生する〉

と指摘されている。にもかかわらず、数字のうえでは死者も負傷者もゼロだ。

「『パニック等の混乱による死者数・負傷者数』の統計的なデータがみられない」(内閣府防災担当・田村英之参事官補佐)として具体的な数は算出されていない。