雑誌 北朝鮮
史上最悪の「兄弟ゲンカ」金正恩は、兄・金正男も「処刑」する気だ
北朝鮮コンフィデンシャル 
週刊現代 プロフィール

「当初は正男が、金正日総書記の有力な後継候補でした。ところが'01年5月に、東京ディズニーランドへ行こうとして成田空港で捕まってしまう。敵国である日本に捕まったのですから、これは後継者としては致命的です。

実際、金正男は私に、『この一件で父上に激怒された』と述べていました。『私が後継から外れたのと、日本で捕まったこととは無関係だ』とも弁解していましたが、それは彼の負け惜しみだと思います」

翌'02年8月からは、北朝鮮国内で、高英姫夫人の偶像崇拝化が始まった。これは後継候補が正男から高夫人の息子へ移った証左と見られる。

そんな「金正恩後継」を世界に知らしめたのは、「金正日の料理人」こと藤本健二氏だった。藤本氏が述懐する。

「一家で食事する時は、金正日総書記の隣は必ず正恩で、正哲は下座に座らされていました。金総書記は『正恩はオレに似て肝っ玉が大きい』とも自慢していました。こうしたことから、正恩後継は、金正日総書記の心中では既定路線だったのです。私は計13年間、金正日総書記の側に仕えていましたが、金正男のことは、平壌で存在すら知りませんでした」

兄は弟の能力に疑問符

こうして後継候補から外れた金正男が頼ったのが、中国と張成沢だった。

「金正男は、'95年から北京に移り住んで、精力的に父親の外貨獲得をサポートしていました。北京に2軒家があって、マカオにも別宅があり、最近は上海にも豪邸を買ったと聞いています。北京とマカオには別々の妻子がいました。

金正男は、中国で本当に贅沢な生活をしていました。『エルメスが一番気に入っている』などと言っていました。

先月の張成沢の死刑判決文には、『一年間に460万ユーロ(約6億5000万円)以上を秘密金庫から引き出して使った』とありますが、こうした『張成沢資金』が金正男に流れていた可能性は十分あります」(前出・五味氏)

中国の外交関係者によれば、中国は張成沢と金正男を、いわば一心同体と見ていたという。

「わが国は金正男に長期滞在ビザは保証したが、資金提供はしていない。すべては張成沢と(金正日総書記の妹)金敬姫の夫妻を通して資金提供がなされていたようだ。

実際、張成沢はよく訪中し、金正男と会っていた。'08年夏に金正日総書記が脳卒中で倒れた時には、金正男は張成沢の命を受けて、皇帝が飲むような高価な漢方薬を北京で調達して平壌へ運んでいた」