テレビのヨミカタ
2014年01月15日(水) 高堀 冬彦

酒とタバコ、競輪をこよなく愛した無類派アナウンサー、故・林美雄さんの思い出

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TBSに林美雄さんというアナウンサーがいた。名前通りに美声の持ち主で、アナウンス技術も超一級品。なにより、サブカルチャー全般に通じており、しかも目利きで、「林アナの推す作品なら間違いない」という信用を誇っていた。

林さんは2002年7月に58歳で他界しているが、その存在は今なお語り継がれており、集英社の月刊誌『小説すばる』は、昨年8月号から作家の柳沢健氏の執筆で『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』と題した評伝を連載している。TBSラジオも昨年12月27日、1時間の特別番組『林美雄 空白の3分16秒』を放送した。

今でも語り継がれる林さんの人間的魅力

死後10年以上が過ぎたアナについて、雑誌で連載されたり、特番が制作された例は記憶にない。派手さはなかった林さんだが、実は大きな存在だった証だろう。林さんから影響を受けた世代が40代、50代となり、出版や放送の現場で指揮権を持ち、取り上げることにゴーサインが出せるようになったことも背景にある。人の本当の死とは、その人について語る人、知る人が誰もいなくなったときとも言われるから、そういった意味で考えると林さんはまだ生きていることになる。

TBSはラテ兼営局だから、林さんは『ニュースの森』などテレビにも出演したが、ラジオに拘っていた。サブカルに関する知識やセンスが存分に生かされたのも1970年から80年まで担当していた深夜放送『パックインミュージック』。荒井由実時代のユーミンやタモリ、RCサクセションは、この番組から羽ばたいていった。売れっ子になる前の佐野元春の紹介にも熱心だった。アーチストからの信頼も厚く、のちに結婚する井上陽水と石川セリは、この番組内で知り合った。

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