「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第30回】 波乱の幕上けとなった2014年のマーケット

〔PHOTO〕gettyimages

筆者は、昨年末の第29回「来年はどのような年になるのか?」で、来年の世界経済は、「リーマンショック以前の高成長局面の再来に向けての明るい材料よりも、回復の攪乱要因となりうる政治経済的な要因が多く存在する。以上から、来年の世界経済は、様々な波乱要因を乗り越えながら、先に進んでいくという『苦闘の年』となるのかもしれないと考えている」と述べた。

そして年が明けて約2週間が経過した現時点で、早くもマーケットは波乱含みの展開で動きつつある。筆者が原稿を執筆している時点(1月14日午前10時)で日経平均株価は1万5,523円と、昨年の大納会の終値である1万6,291円から770円近い下げとなっている。

「(どのような基準でおっしゃられているかわからないが)1万5,000円を超している日本の株価はまだ高いので一喜一憂するな」というお叱りも受けるかもしれないが、圧倒的大多数の市場関係者にとって、年初からのこの株価の下げは予想外であり、幸先の悪いスタートと感じていることだろう。

最近の株価はドル円相場と連動しているということなので、ドル円レートをみると、現時点で1ドル103円25~28銭となっている。昨年末にはドル円レートは一時、1ドル=105円にタッチしたので、ドル円レートも足元の円安のピークから約2%弱の円高となっている。

多くのエコノミスト、ストラテジストが株高・円安との見通し

筆者は某業界紙で今年の経済・相場展望のアンケートに回答したが、驚くべきことを発見した。筆者は、今年の日経平均株価のレンジを1万2,500円から1万7,500円、ドル円レートのレンジを1ドル=95円から110円と設定した。

昨年、筆者は、日経平均株価の予想値を1万8千円、ドル円レートを110円として、他のエコノミスト、ストラテジストと見通しが大きく異なっており(当然だが、株高・円安方向に)、ほとんど統計上の「異常値」扱いだった。

周りのエコノミスト、ストラテジストの黒田日銀に対する評価は依然として低く、聞こえてくるのはネガティブなコメントばかりなので、今年の市場見通しも筆者が最も株高・円安であろうと思ったのだが、ふたを開けてみると、筆者が最も株安・円高の見通しとなっていたのだ。多くのエコノミスト、ストラテジストが、日経平均株価では、2万円超え、ドル円レートでは、1ドル=115円前後を中心値でほとんどの方が、円安の上限を1ドル=120円程度としていた。

筆者も、マクロ経済動向やそれに基づいた市場動向を予想することを一応の職業としているのであまり大きな声では言えないが、エコノミストやストラテジストのコンセンサスが一方向に偏った場合には、必ずと言ってよいほど実際の市場は逆に動くというのが、最も信頼できる見方だと思っている。よって最近のこの動きは、その「経験則」がまたも生きていたのかと愕然とさせられたのであった。

それはともかく、最近のこのマーケットの動きをどう考えるかである。筆者は、やはり、米国市場の動向が気になる。

直近のニューヨークダウ工業株平均は、16,257.94ドルで、昨年末の16,576.66ドルから300ドル程度下落している。下落幅は小さく、たいしたことはないのではないかという見方が大半であろうが、昨年末の勢いがなくなってきている点は気掛かりである。

筆者が懸念するのは、Taperingの影響が早くも出始めたのではないかという点である。昨年の最後のFOMCでFRBがQE(量的緩和政策)の縮小を決めて以降、米国経済指標も比較的、先行きに対して楽観的な見通しをサポートする内容となっている(先週末の雇用統計は期待を裏切ったが)。

株式市場が軟調であった理由は、米国経済指標の好転がTaperingを加速させるのではないかという見方の台頭が端緒であったように思われる。当初は、Taperingの加速は、米国景気の正常化のタイミングが前倒しになっているとの楽観的な見方から逆に株価は上昇したが、次第に、Taperingの加速は早期の金融引き締めへつながるという懸念に転じ、「利益が出ているうちに先抜けしよう」と考えている投資家が増えつつあるように思える。

以上の話はあくまでも最近の米国株式市場の短期的な動きを筆者なりに解釈したもので、多少のネガティブバイアスがかかっているかもしれない。だが、筆者は、やはり、FRB内でのタカ派の台頭に伴うTapering加速は今年の世界の株式市場の最大のリスク要因であると考えている。

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