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ギャンブルは確率・投資・人間心理を学ぶ絶好の教材だ!「カジノ解禁」に大いに期待する

2013年11月に初開催された「マカオ・ゲームショー」[PHOTO] Bloomberg via Getty Images

日本でのカジノ解禁に向けた動きが本格化してきた。昨年12月5日には自民党・日本維新の会・生活の党の共同提案で、通称「IR推進法」、正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」が上程され、次の通常国会での継続審議となった。国会での本格的な議論はこれからだが、数の読みとして、法案が通る可能性は十分ある。

そして、筆者は、日本にカジノが出来ることを大いに期待している。

正しいギャンブル教育とは「結局儲からない」と学ぶこと

「IR」とは「統合リゾート(Integrated Resort)」を意味しており、カジノを含む複合的な観光施設を認可を受けた特定の地域に作ろうとするものだ。超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連)の幹事長を務める岩屋毅衆議院議員によると、東京オリンピックが開催されて、多くの外国人観光客が集まり、日本の観光に注目が集まる2020年までに、開業に漕ぎ着けたいとしている。

最近、何人かの経済人から、「東京オリンピックまでは、経済の“目玉”になるものがあるが、オリンピックの後は何も無くなるので、それが怖い」という声を聞いた。カジノ解禁は、観光産業の振興を通じてそれなりの経済効果をもたらす可能性があり、「オリンピック後の恐怖」を一部減じてくれる材料になり得る。

開業に至るプロセスにあっても、大型の統合リゾートの開発費は一カ所で5000億円を超えると目されており、これが、全て民間のお金として投資されることになる。端的にいってカジノは儲かるビジネスであり、民間でファイナンスをつけることは難しくない。

また近年、外国人観光客を頻繁に見かけるようになったものの、日本の国際観光市場における地位は低く(年間の外国人観光客数は人口500万人のシンガポールにも遥かに及ばない)、観光分野には大きな伸びしろが期待できる。ただし、後述のように、筆者が、日本にカジノができることに対して期待するのは、主として経済振興に役立つから、ではない。

なお、読者が冷静に行動できるように、あらかじめ言っておきたいが、今後、東京オリンピックに向けた開発が進み、不動産にあっては多くの地域で魅力的なテーマが語られるようになるだろうし、既に建設資材の価格が高騰し、不動産価格が上昇し始めている。不動産のセールスマンは合い言葉のように「東京オリンピックまでは(不動産の需給は)大丈夫ですよ!」と言うようになるだろうが、相場の世界では「〜までは大丈夫」と広く言われて、本当に大丈夫であったことの方が稀だ。

今後、不動産のバブル的値上がりが起こるとしても、東京オリンピックの後は不安があるし、オリンピックの手前でバブルが崩壊する可能性が十分あると申し上げておく。不動産バブルで一儲けしようとするのは、あぶない、あぶない!

さて、筆者が「日本のカジノ」に期待する最大の理由は、正しいギャンブル教育の普及だ。

日本にカジノを導入するにあたっては、ギャンブルに関する教育を徹底する必要がある。これは、国民を保護するために当然のことだろう。まず何よりも、ギャンブルは、確率に支配された、期待回収率が100%を下回るゲームであることを徹底的に周知する必要がある。

カジノのギャンブルは、「上手くやれば儲かる」という性質のものではない。単に「運のいい時にだけ儲かる」ものなのだ。しかし、人は、ギャンブルに関わる時に、自分が上手くやったから儲けたとか、運を予期することができる、といった「誤った実感」を持ちやすい。そして、こうした実感が誤りであることを学ぶには、カジノのゲームのように仕組みが明確なもので、自分がやり取りできる程度のお金で勝ち負けを経験してみることが最も手っ取り早い。

人生には思い通りに行かないことがあるのを学ぶにも、運が介在することを経験するにも、分からないながらも確率を考えなければならないことを知るにも、ギャンブルは絶好の教材だ。これらを知るために、株式や不動産への投資、または生命保険、あるいは人生そのものを通じて何年、何十年も掛けるのは、効率が悪すぎる。

日本にカジノを導入する以上、小学校、中学校の段階から、確率の考え方を繰り返し教える必要がある。ルーレットやブラックジャックといった個々のギャンブルの期待回収率や、現実のカジノの顧客の損益についても情報を伝える必要がある。カジノの客は平均で、あるいは中央値で、幾ら使って、幾ら損しているのか、儲けて帰る客は何%なのか、胴元はどのくらい得な立場なのか、という現実は、児童・生徒も含めて全国民が広く知るべきだ。

児童・生徒は、ギャンブルが結局儲からないものであることを学び、それでも大人がこれに惹きつけられている事実を通して、人間についても学ぶはずだ。

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