「コミュニティ・オーガナイジング」を通じて、一人ひとりが社会変革の主役となるには ~マーシャル・ガンツ博士 特別講義

2014年01月09日(木) 佐藤慶一

佐藤慶一賢者の知恵

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ガンツ氏の特別講演では、「コミュニティ・オーガナイジング」の手法の説明や事例を通してその重要性が語られた。

「コミュニティ・オーガナイジング」とは、市民誰もが社会課題の解決に取り組むことを可能にする手法のこと。つまり、少人数が勇気を持って声を上げ、人々を巻き込み、多くの人の力を戦略的に用いて社会変革を実現していくのだ。

キング牧師による公民権運動、ガンジーによる独立運動など、歴史を振り返ると数えきれないほどの運動による社会変革が起きてきた。ガンツ氏はリーダーシップについて次のように語った。

「リーダーシップというと、カリスマ性のある限られた人にだけ与えられた特別なものと思われがちだ。しかし、リーダーシップは学ぶことができる。コミュニティ・オーガナイジングでは、誰もがリーダーであると考える。ただし、リーダーシップを学ぶためには、行動を起こし、何度も失敗しながら挑戦することが必要である。

変化や変革が生まれる時に創造的なリーダーシップが必要だ。リーダーは常に学習者であるべきであり、"自分たちの資源"をどのように変化に変えていくのかを考え、最終的に"コミュニティの資源"に変えていくことが重要である」

「コミュニティ・オーガナイジング」を構成する5つのリーダーシップ

ガンツ氏の編み出した「コミュニティ・オーガナイジング」は、5つのリーダーシップの要素から構成される。それぞれ「ストーリーテリング(パブリック・ナラティブ)」「関係構築」「チーム構築」「戦略立案」「アクション」である。

ストーリーテリングとは、自分が行動する理由を伝えることで、共感を呼び、「私たち」のストーリーとしていくこと。関係構築は、継続的なボランティア活動をする際に、共通の足場(目的)を見つけ、相互信頼を築いていくことが重要となる。

チーム構築に関しては、特に共通目的に基づき、多様な人材を揃え、活動の中心となるチームをつくることがポイントだ。戦力立案は、これから起こす社会変革や課題解決に向けて、自分たちの資源をどのように使っていくのかということが重要になる。そして最後に、目的を実現するためには、活動参加者のコミットメントが促進されるようなアクションが求められる。

これらのリーダーシップの要素については、黒人バスボイコットの事例も合わせて紹介された。最初にローザ・パークス氏という当事者のリーダーシップがあり、バスの人種隔離に抵抗したことによる彼女の逮捕によってコミュニティの団結力が生まれ、黒人が力を合わせてバスボイコットを実施。これが、最終的には人種差別撤廃という大きな社会変革を実現した。

上記で紹介してきたリーダーシップの要素を用いた「コミュニティ・オーガナイジング」は、これまでにアメリカやヨーロッパ、アジアのNPOを中心に社会を変える手法として活用されているそうだ。

共通目的を持った継続的なボランティア活動を通じて、無関心層の心を動かしながら仲間を増やし、強いチームを作り、社会変化を起こす戦略立案をしていく。そして最終的なアクションまで実行していくというこの手法は、日本でも普及が待たれれるところだ。

コミュニティ・オーガナイジングの詳細は、「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ・イン・ジャパン」の公式サイトも参照してほしい。

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