池上彰 × ダライ・ラマ法王14世 【第1回】 「経済は、人間の価値を犠牲にして繁栄すべきではありません」
『これからの日本、経済より大切なこと』より一部抜粋
[左] 池上彰(ジャーナリスト)、[右] ダライ・ラマ法王14世

このまま経済成長を優先する社会でよいのか? そんな疑問を持ってダライラマ法王14世と対談した池上彰さん。昨年11月には共著を発売した。本書の中から、第1回は経済、格差について抜粋する(新刊『これからの日本、経済より大切なこと』より一部抜粋)。

第一章 経済について

●経済成長の限界(ダライ・ラマ法王14世)

何年も前、日本の経済が低迷し続けていた頃、私は皆さんにお話ししました。経済成長には限界がある、と。遅かれ早かれ、経済はそれ以上の成長が望めないところに達します。それは、今あなたがおっしゃった通りなのです。

日本のみならず、世界全体の経済も難しい状況に直面しており、それも日本の経済に非常に大きな影響を与えています。しかし、この経済危機もまた、ある部分では私たち人間のものの考え方に関連していると私は思います。

全体的なものの考え方をすることができないため、その場限りの利益を追求することしか考えず、長い目で見るとどういう結果になるのかということを考えていないのです。こういうことはできるだけ避けなければなりません。

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欲望の果ての歪みダライ・ラマ法王14世)

今もEUで金融危機が起き、ヨーロッパだけでなく世界全体を巻き込む事態になっています。これも元をたどれば、凄まじい欲望の果てに生まれた巨大な経済システムの歪みではないでしょうか。

おおよそ普通の生活で必要のない巨額の金を動かし、財産を少しでも増やそうと目の色を変えている。その背景には、お金があれば欲望は何でも満たされる、より深い幸福感が待っている、そんな呪縛があるのです。

そうやって一部に莫大な財産が集められれば、貧富の差も広がります。

こんなに豊かな世界がある一方で、食べるのに困って餓死する人がいるというのは、本当におかしなことでしょう。

まさに欲望に駆り立てられた社会の腐敗、人間の堕落の象徴ではないでしょうか。

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経済の繁栄と心の平和ダライ・ラマ法王14世)

商売をしたり、発展させてはいけないと言う気はありません。経済的成功はよいことです。自分にとって、他人にとって社会にとってよいことです。

しかし経済は、人間の価値を犠牲にして繁栄すべきではありません。公正な行ないにとどまるべきであって、利益のために内面の平和を犠牲にしてはなりません。

(13ページ

これからの日本、経済より大切なこと
著者= 池上彰、ダライ・ラマ法王14世
飛鳥新社刊 / 定価1365円(
税込み)

◎内容紹介◎

さまざまな問題が立ちはだかる現在の日本。
混迷の時代を生き抜くヒントを
ダライラマ法王14世の言葉から探ります。
それを受けて池上 彰が解説。
経済成長を経た今、必要なものは何か?
池上 彰とダライラマ法王14世がおくる、
日本を元気にする処方箋。

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