年間視聴率で2冠を制したテレ朝の戦略と、20年前にトップに立つことを目標に掲げた故・伊藤邦夫氏の功績
tv asahi より

計画通りに、1冠から躍進して2冠を得たテレ朝

テレビの世界に「3冠王」が存在することはご存じだろう。3つの冠とは、全日帯(午前6時~深夜0時)、プライム帯(午後7~11時)、ゴールデン帯(午後7~10時)の視聴率で、いずれもトップを取れば3冠王ということになる。この言葉は、1982年から12年連続で年間3冠王を獲得していた当時のフジテレビが世に広めた。

2013年の年間視聴率争いでは3冠王は誕生せず、テレビ朝日がゴールデン帯とプライム帯を制した。テレ朝は2012年、開局から初めてプライム帯でトップとなり、1冠を得たが、2013年はさらに躍進して2冠王となった。

2013年の残る1冠である全日帯を獲ったのは日本テレビ。2012年は全日帯とゴールデン帯を得ており、日テレが2冠王だった。この2年間はテレ朝と日テレが3つの冠を分け合っている。

この2年間は3冠王の局はないわけで、テレ朝の視聴率が急伸したことにより、テレビ界は混戦期にある。一方では、3冠王という造語の生みの親で、2011年までの30年間、常にトップを競ってきたフジが無冠に終わっていることから、転換期でもあるだろう。

各局の差は、数字上はほんの僅かなのだが、その優劣は見事なまでに売り上げと連動している。日テレの2013年度中間期のテレビ広告収入は1,092億500万円(前年同期比1.4%増)と好調だが、テレビ朝日は924億2,200万円(同2.9%増)で、伸び率は日テレより高い。一方、フジの広告収入は1,144億4,500万円(同6.5%減)にとどまっている。視聴率争いには功罪が指摘されるが、いずれにせよテレビ界の業績は視聴率次第なのは間違いないのだ。

さて、テレ朝は1冠、2冠と1年ごとにステップアップしてきたわけだが、こんな軌跡は過去に例がない。日テレとフジがトップを競っていた2011年までの30年間は、いつも勝った側が3冠を得ていた。その前、TBSと日テレが強かった時代も同じ。

だが、これはテレ朝の誤算や油断ではなく、経営計画通りなのだ。視聴率や映画の興行収入は水物であり、そう簡単に思惑通りにはならないはずなのだが、テレ朝は有言実行を果たしている。

テレ朝は現在、「デジタル5ビジョン<経営計画2011-2013>」と題した3ヵ年計画を推進中なのだが、その中で2013年度中にプライム帯で1位になることを株主らに宣言していたのだ。

テレ朝は同じ計画で、全日帯の目標を「トップグループ」と控えめにしていたが、これも予告通りになっている。テレ朝は民放の他局と同じように上場企業なので、株主に大風呂敷を広げず、それでいて目標はきっちり達成した点は、高く評価されるべきだろう。

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