社長の風景

日本の文化である醤油をさらに発展させ、魅力を世界に伝えていきたい。伝統とは守るものでなく、姿かたちを変え、続けていくものですから。

2014年01月16日(木)
週刊現代
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日本の国民的調味料・醤油を世界100ヵ国以上で販売し、国内シェア約3割とトップを走る「キッコーマン」。商標の由来は『亀甲萬』。古くから醤油醸造が盛んだった千葉県野田市周辺の醤油醸造家8家が1917年に野田醤油株式会社を設立し、誕生した企業だ。売り上げの46%、利益の66%(2012年度)を海外事業で上げる優良企業を率いるのは、創業家のひとつ、堀切家出身の堀切功章社長(62歳)だ。


日本の文化である醤油をさらに発展させ、魅力を世界に伝えていきたい。伝統とは守るものでなく、姿かたちを変え、続けていくものですから。ほりきり・のりあき/'51年、千葉県生まれ。'74年に慶應義塾大学経済学部を卒業し、キッコーマンへ入社。'03年6月、執行役員に就任。その後、'08年に取締役常務執行役員、'11年には代表取締役専務執行役員、キッコーマン食品代表取締役社長(現任兼務)に就任し、'13年6月、キッコーマン社長CEO就任、以来現職 ※キッコーマンのwebサイトはこちら

世界食

醤油の海外進出が成功したのは、徹底的に現地化したからです。日系人が使う、もしくは日本食を食べるときに使うだけでなく、たとえばアメリカ人がバーベキューのとき肉を醤油に漬け込む、フランス人が生野菜にドレッシング感覚で醤油をかけるなど、現地の食文化にとけこんだからです。醤油は「オールパーパスシーズニング(万能調味料)」として売り出し、いまは生産も現地で行っています。

アイスに醤油

常識は不変でなく、新しい需要は創り出せる、と考えます。フランスでは、『スクレ』という甘みの強い醤油を販売しています。ヨーロッパでは白米がサラダ感覚で食べられることがあり、『スクレ』をかけて食べるんですよ。ほかにも、高名なシェフがバニラアイスクリームに数滴、醤油を垂らして使ったのは驚きました。日本人にはない発想ですが、実際に香り高くなるんです。

面影

堀切家は、流山でみりんを中心につくっていた醸造家で、私は工場の敷地にある家で育ちました。当時は物流の中心が船だったため、工場は江戸川のすぐ隣に建てられていました。私は子供の頃、よく川で釣りをしました。みりんの香りにつられ、魚が集まってくるらしく、工場の人にいろいろ教えてもらうとよく釣れました。コイなどの川魚のほか、ウナギが獲れたこともあります。いまも釣れるようですよ。

教育

父は醤油を使うとき、必ず色や香りを確かめてから垂らしていました。そんな姿を見ていたためか、私も自然と、醤油を一滴たりとも無駄にしないようになりました。何か言われたわけでなく、それが当然だったのです。

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