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2014年01月01日(水)

森喜朗×田原総一朗「松井秀喜との秘話、そしてアフリカ外交より地元が大事な外務大臣」

『日本政治のウラのウラ 証言・政界50年』より(第2回)

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「序章--東京オリンピック招致」はこちらをご覧ください

第一章 絶え間なく外交は続けられる――政界引退後

一 バチカン、キューバ、そして松井選手まで

――森さんは二〇一二年の総選挙を前に引退を表明なさった。それで田舎に引っ込むのかと思ったらとんでもない。序章では、オリンピック招致の話を聞きましたが、それこそ、世界を股にかけて飛び回っていらっしゃる。

二〇一三年三月には、バチカンで行われたローマ法王の就任式典に出席されましたね。ベネディクト十六世の退位に伴うコンクラーベという選出会議で、アルゼンチン人でブエノスアイレス大司教のホルへ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が新しいローマ法王に選出された。新しい法王の名はフランシスコ一世と言って、二千年のカトリックの歴史で初めてのアメリカ大陸出身の法王ということですね。

変な話だけど、ローマ法王って何語でしゃべるんですか?

森 スペイン語だと思いますが、ぼくと挨拶された時は英語でしたよ。相手がアメリカ人やイギリス人だったら、流暢な英語でしゃべらないと笑われちゃうけども、アルゼンチン人だから片言で話せばいいんですよ。単語をつなぎ合わせてね(笑)。「アイアムアフォーマープライムミニスターオブジャパン」と自己紹介すると、法王が「ホ~」(爆笑)。

――日本からは、どういうメンバーで行ったのですか。

森 ぼくだけです。これは政府代表としてね。安倍総理の代理で出席しました。これがその時の写真だけど、ぼくが法王に説教しているみたいでしょ(爆笑)。テレビが就任式典の模様を全部、中継していてね。大使館の人がその映像をプリントしてくれたんです。

カトリックの信者にとって、ローマ法王というのはすごい存在なんですねえ。ぼくが出発する前に、経団連副会長で事務総長の中村芳夫さんから電話がかかってきてね。

「いやあ、森先生。羨ましいです」

「何が、ですか」

「バチカンに行かれるんですね。ローマ法王に会えるんでしょう」

「そんなにすごいことですか?」

「私たちカトリック教徒にとっては、最高の栄誉です」

「それじゃあね。あなたの代わりに、オレがちゃんと祝意を述べてくるから」

――ローマ法王とこんな近くで会うなんて、普通はありえない(笑)。

森 だから、この写真を中村さんに見せてあげようと思っています。岩手県選出で元農林水産大臣の玉澤徳一郎の奥さんも、うちの家内に電話をかけてきて、「バチカンの記念品を何でもいいから、石ころでもいいからもらってきてくれませんか。最悪、森先生の乗った飛行機の半券でもいいからもらえませんか」(笑)と言うんだよ。カトリック教徒にとってはまさに神様なんだね。イヤイヤイヤ(笑)。

――その前にはキューバにも行かれていますね。森さんは引退後も日体協(日本体育協会)の会長をされていて、これは日体協の仕事ですか。

森 そうですね。面白かったのはね、キューバ訪問の前後にアメリカで松井秀喜くんに会う約束をしていたんだ。アメリカ大リーグのニューヨーク・ヤンキースで活躍した松井はわが故郷(石川県能美市)の出身で、ぼくの実家から五百メートルのところに実家があります。だから、後援会の名誉会長を務めていたんだけど、松井のお父さんから「日本に絶対に帰らないと言っているので説得してください」と頼まれましてね。

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