田原総一朗 × 佐々木俊​尚 Vol.4 「これからの国のあり方は、小さな国家のようなモデルに変わっていかざるを得ない」

2014年01月10日(金) 田原総一朗
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報道機関立ち上げをお金持ちに頼るのもアリ

田原: いちばん週刊誌で問題があるのは、たとえば東電なら東電の作業員として潜り込むじゃないですか。潜り込んだあとで、それを週刊誌で記事を書く、と。これは特定秘密保護法で引っかかるんですかね?

佐々木: 微妙ですよね。それはプロのすでに名の売れているジャーナリストならいいかもしれないですけど、まったくそれがデビュー作だった場合はわからないですよね。

田原: でも、大体週刊誌は日常的にそういうことをやっているんだよね。

佐々木: そもそも取材しているのはフリーライターだったりするんですよね。フリーライターといっても今まで単なる作業員だった人が突然発表するというケースもあるわけで、この前、福島の原発で作業員をしていた竜田一人さんという人が講談社の『モーニング』誌で「いちえふ」というマンガを描いていますよね。ああいうケースは、はたして報道なのかどうかというのはわからないですよね。本当はそこを議論しなければいけないんですよね。

瀬尾: 日本に必要なのは、一つにはスノーデンみたいな人が発表できる場所を作るということと、もう一つはその裏をとれる調査報道的なプロ集団というか、そういうものを作っておく必要はあると思います。その二つがあれば、どんなに法律で締めつけても絶対萎縮せずにそういう人が現れますよね。

佐々木: アメリカの場合だと、明らかにそこは寄付で担おうという方向で大金持ちがお金を出しています。日本もソフトバンクの孫正義さんみたいな人がドンと100億円くらい出して、それで報道機関を10年くらい維持するとか、そういう仕組みのほうがいいんじゃないかと思いますね。

瀬尾: アメリカのお金持ちは結局、政府をそんなに信用していないんですよね、基本的に。日本のお金持ちは政府を信用していますけれども。

佐々木: この前Amazonのジェフ・ベゾスがワシントン・ポストを買収したりしていますよね。あとはeBayというオークションのサービスがありますよね。あそこの創業者のピエール・オミディアーが2億5000万ドルをぽんと出して自前の報道機関を立ち上げたり、いろいろなことが起きていますね。そこはお金持ちのお金に頼るというのもアリだと思いますね。

〈了〉

 

佐々木俊尚 (ささき・としなお)
1961年、兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部中退。毎日新聞記者、月刊アスキー編集部を経てフリー・ジャーナリストに。IT分野を中心に精力的に取材、「ウェブ2.0」現象についての執筆を続ける。『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる 』(ちくま新書)『仕事するのにオフィスはいらない』(光文社新書)、『マスコミは、もはや政治を語れない』(講談社)、『電子書籍の衝撃』(ディスカバー21)『レイヤー化する世界』(NHK出版)など著書多数。ホームページはhttp://www.pressa.jp/
田原総一朗 (たはら・そういちろう)
1934年滋賀県彦根市生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経て1977年フリーに。現在は政治・経 済・メディア・コンピューター等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。テレビ朝日系で1987年 より「朝まで生テレビ!」、1989年より2010年まで「サンデープロジェクト」に出演。テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、1998年 ギャラクシー賞(放送批評懇談会35周年記念城戸又一賞)を受賞した。2010年よりBS朝日にて「激論!クロスファイア」(毎週土曜日 AM10:00~10:55)開始。2002年4月より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講、塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生たちの指導にあ たっている。2005年4月より早稲田大学特命教授。著書多数。

著者: 佐々木俊尚
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