田原総一朗 × 佐々木俊​尚 Vol.4 「これからの国のあり方は、小さな国家のようなモデルに変わっていかざるを得ない」

2014年01月10日(金) 田原総一朗
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権力監視する機能を担うメディアを考えていかなければいけない

田原: 世界がレイヤー化していくなかで、マスコミの役割ってどうなるんですかね?

佐々木: 基盤としてのメディア企業というのは多分アリなんじゃないですか。だから、情報が流通する基盤というものをちゃんと作ってあげて、そこに個人が発信する情報、ブロガーが流す情報、あるいはプロのジャーナリストが書く、そこはある程度フィルタリングして流してあげる、とそういう機能は今後も残り得るよね。ただまあ、問題はそれでどうやってお金を儲けるかが未だに見出せないことですね。

瀬尾(現代ビジネス編集長): 僕らの描いているモデルでいうと、たとえば10人とかそのくらいは食えるというのは見えてきている。けれども、もっと大きく週刊誌みたいに100人食えるとか新聞社みたいに500人食えるとか、そういうモデルはなかなかちょっと描けないんですが。

佐々木: そもそも基盤で場を作る企業というのはそんなに人数が要らないですからね。ただまあ、最終的な問題として残るのは、調査報道みたいに権力監視する機能がその仕組みのなかで担えるかどうかというところが、最終の難関だと思いますよ。それはやっぱりなくなってはいけないと思いますが、じゃあそれをWikiLeaksやスノーデンが担うのか、という問題で。

瀬尾:結局WikiLeaksとかスノーデンも調査報道として本当に裏をとるところはガーディアンとかニューヨークタイムズとかプロを使っているんですよね。たとえば2ちゃんねるでいくらいい暴露があっても、それが本当かどうか、裏をとるスキルがなければいけないですし、それはやっぱりプロじゃなければできない。それをどう育てるか、確保するのかというのが、ぼくらの課題です。

佐々木:今回の特定秘密保護法案の発端になった、尖閣諸島の海保のビデオ流出問題があったじゃないですか。あれも一色正春さんという内部告発者がいて彼がYouTubeにビデオを流して、多くの人が知るところとなった。あれってYouTubeという基盤を使っているんですね。だから、YouTubeが一つのジャーナリズムの基盤になっているわけで、ああいうものを一体どうするのか、と。

YouTubeだけではなくて、そこにプラスアルファでYouTubeに流れているものをもう少しフィルタリングして、ある種ジャーナリスティックな視点を持って流し方を変えるとか内容を変えるという仕組みはあり得るかもしれない。それをやろうとしているのは堀潤だったりするんですが、まあ、現状はなかなかうまくいっていないとは思います。

ただ、そこまで考えて今後はメディアのプラットフォームというものを考えていかなければいけない。一色さんやスノーデンのような個人の内部告発者が出てきて、それを流すということはもはや止められないわけで、そこにどうやってプロのジャーナリストが噛めるかということで、視点とかフィルタリングとか含めて、そこを考える必要があると思いますね。

今回の特定秘密保護法案がいちばんけしからんのは、あれだけ狂ったように批判している朝日新聞とか毎日新聞、東京新聞が、尖閣のビデオ流出のときは「こんなものが流出するなんて、国の情報コントロールはどうなっているんだ」と当時は怒っていたんですよ(笑)。

あれはすごく微妙な問題で、今回も報道に関しては除外すると言っているじゃないですか。でも、この前テレビ東京のBSの番組で、公明党で、特定秘密保護法案に関する検討PT座長を務めた大口善徳衆議院議員とトークをしたんですが、じゃあ報道といっても一色さんのような人は入るのかどうか、ブロガーなんかは含まれるのかどうか、と聞いたら答えられなかったんです。

そこの境目はすごく重要で、新聞社とテレビ局以外にもものすごい勢いで報道の枠組みが広がっているわけですから、そこはどこまで認めるのかという議論は本当はしなければいけないんですが、全然そこはやっていないですね。

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