田原総一朗 × 佐々木俊​尚 Vol.2
「グローバリゼーションが進むと、その国でそれぞれコントロールされていたものがコントロールされなくなる」

[左]佐々木俊​尚さん(ジャーナリスト)、[右]田原総一朗さん(ジャーナリスト)

ロボットは将来的に人間の単純労働を代替する

田原: 『レイヤー化する世界』を読んでいちばん不安なのは、大量生産の大きな工場がなくなると失業が増えるんじゃないかということです。アメリカのAppleやGoogleが世界を席巻していても、アメリカ人が働く場所がないんですよね。

佐々木: ないですね。最近はアメリカに工場を戻すという動きが出てきていますけれども、戻してはいても実はロボット化しているので採用する人数がものすごく減っているという話があります。

この本にも書きましたが、昔の産業ロボットというとコンピュータチップに部品を入れていくような、人間にできないようなものすごく精密な作業をやっていた。今のロボットはそうじゃなくて、人間の単純労働を代替するという方向に変わってきています。

そうすると、ますます非熟練単純労働がロボットに取って代わられるということが起こってくる。しかも、ロボットに加えて第三世界、東南アジアとかアフリカの労働者に取って代わられる、こういう状況はもう間違いなく起きてきますね。

田原: そうすると、先進国の労働者はどうすればいいんですか?

佐々木: もはや大企業の工場労働者として食っていくというのは現実的には難しくなるだろうと思います。だから、自分で食い扶持を稼ぐという方向性になりますね。小商いから始めるのがいちばんいいんじゃないかと思います。

たとえばネットで自分の作ったものをちょっと売るとか、アプリケーションを開発して売るとか、要するに自分でビジネスをやるわけですね。だって、日本でも先進国でもそうだったと思うんですが、どこかの企業の従業員になるというスタイルはそんなに長い歴史があるものじゃない。せいぜい19世紀からのものです。

田原: たしかにそうですね。産業革命が起きるまではみんな家内制手工業で自分たちで作っていたわけだから。

佐々木: そっちに回帰していくんじゃないかと思いますね。

『レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる』
著者=佐々木俊尚
NHK出版  / 定価861円(税込み)


◎内容紹介◎

情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシス テムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生き ていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。

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