田原総一朗のニッポン大改革

田原総一朗 × 佐々木俊​尚 Vol.1
「レイヤー化する世界では自動車メーカーもこう変わっていく」

2014年01月07日(火) 田原総一朗
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[左]佐々木俊​尚さん(ジャーナリスト)、[右]田原総一朗さん(ジャーナリスト)

レコード会社が「よし、こいつを売りだそう」という仕組みはもはやない

田原: 佐々木さんの『レイヤー化する世界』を読ませていただいきました。とてもおもしろかったです。ただぼくにはよくわからないところもあった(笑)。たとえば今の民主主義の国がなくなっちゃうとか、情勢が大きく変わっていて。まず音楽の世界から変わっていく、と書いているんだけど、これはどういうことですか?

佐々木: 今まではレコード会社が中心になっていて、レコード会社がミュージシャンも録音スタジオもCDショップも抱え込んで、全部抱え込んで、そこでビジネスが成り立っていました。でも、すべてを抱え込んでうまく利益を配分してくれるような仕組みみたいなものはもう崩壊してきているんです。

今はネット配信が中心になってきて、グローバル市場でいうと、海外だとiTunesとか、最近だとiTunesよりもさらに流行っているのは月額1,500円くらい払うと聴き放題みたいなサービスですね。今までのiTunesだと1曲いくらだったんですが、それが月額1,500円でいくらでも聴けてしまう。そういうサービスがどんどん出てくることで、CDを買う人がいなくなっちゃう。

日本ではまだCDが売れているんですが、英語圏ではもうCDは売れなくなってきていて、みんな配信で聴いているんです。CDが売れないということは、レコード会社が儲からないということです。じゃあお金がどこに入るかというと、配信をやっているネットの企業のほうに入るという仕組みですよね。

ネットの企業というのは、今までのレコード会社のようにミュージシャンを抱え込んだりとか、そういうやり方はしないわけです。iTunesなんて「音楽が売れる基盤だけを提供しますから、あとは皆さんが勝手にやってください」というやり方ですね。

田原: 音楽家が勝手にやるというのはどうするんですか?

佐々木: 極端な例を挙げると、事務所さえ作らずに自分たちが曲を録音してiTunesで販売してその売上が入ってくるというそれだけのシンプルなモデルですね。

ただ、iTunesで売ってもあんまり儲からないというのがあったんですが、それが変わりつつある。さっき言ったように月1,500円で聴き放題みたいなモデルが出たりすると変わるんです。

 有名なミュージシャン、たとえばビートルズの曲が流れたりすると、自分がビートルズを好きならその曲に「いいね!」を押しますよね。そうするとビートルズに似た曲調の曲を流してくるんです。その似たような曲を演奏しているのは無名のミュージシャンだったりするので、そのミュージシャンの曲も聴かれるわけです。そうすると今までレコード会社に全然相手にされていなかった無名のミュージシャンでも、そこそこ生活できるだけのお金が入るケースもでてきている。

『レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる』
著者=佐々木俊尚
NHK出版  / 定価861円(税込み)


◎内容紹介◎

情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生きていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。

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