榊原英資『これから7年、先読み! 日本経済』~第4回~ 「プロフェッショナルの時代」は、貧富の差をますます拡大させる

2014年01月05日(日)
upperline

なぜ格差が拡大するかといえば、グローバリゼーションが進んでいるからです。

ようするに、中国やインドや東南アジアと競争しなければならない業界や企業は、どうしてもそれらの国の賃金に引っ張られて、賃金が下がります。中国やインドや東南アジアと競争する必要がない、あるいは競争しても圧倒的に優位だという業界や企業は、賃金が上がります。

そこで格差がつくわけですから、鎖国でもしてグローバリゼーションという大潮流を阻まない限り、ある程度の格差社会になることは止めることができません。それはやむをえないことなのです。

しかし、格差社会を止められないとしても、そのことによる影響をなるべく小さくとどめて、人びとが生活しやすい社会をつくることはできます。国家の力を大きくしてそれを実現しているのがヨーロッパ各国で、典型的なのが北欧諸国です。国が関与して税金を高くし、社会福祉を充実させて所得再分配をするということです。北欧ほどではありませんが、フランスもドイツも同じ方向です。

将来どんな国にするのか、日本には二つの選択肢しかない

ところが、ヨーロッパ型の福祉社会をつくるには、消費税10%では足りません。当面は消費税10%を定着させ、その先は15%、20%という水準を目指すべきだ、と私は考えています。その代わり、あまり貯蓄がない人や病気がちの人も含めて、誰もが安心して生活できる社会を構築すべきです。

もちろん、これには社会全体にかなりの覚悟が必要です。一つのモデルになるだろうと私が考えているフランスでは、給与の60%くらいが社会保険料を含む税金で持っていかれます。日本は平均すると40%くらいで済んでいます。

税金と社会保険料をこれまでの1.5倍くらいまで引き上げて、高福祉・高負担の国にするのか。あるいは格差拡大を容認し、これまでのような競争社会を維持し続けるのか。

単純化すれば、これからの日本には以上二つの選択肢しかありません。いずれにせよ低負担・高福祉の国というのはありえないのです。

長い年月をかけて比較的、均質な社会を形成してきた歴史を振り返れば、ギスギスした競争社会は日本にそぐわないし、アメリカン・ドリームのようなジャパン・ドリームも日本では一般化しないだろう、と私は思います。だからこそ、ヨーロッパ型の福祉社会が望ましいと考えています。

政治家はもちろんマスメディアも、大衆に受けるような話ではありませんから、私のような言い方はしません。彼らは、税金はなるべく上げずに福祉をいっそう充実させるべきだ、と主張しています。しかし、それはもともと無理な話なのです。

ただし、現在の福祉の体系を徹底的に見直す必要がある、と私は考えています。これまで日本の社会保障の基本は年金・医療で、実はもっぱら高齢者に対する社会保障でした。

次ページ これからは、若者に対する社会保…
前へ 1 2 3 4 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事