榊原英資『これから7年、先読み! 日本経済』~第3回~
賃金が上がるにはタイムラグがある

榊原英資『これから7年、先読み! 日本経済』第1章より一部抜粋

賃金が上がるにはタイムラグがある

著者の榊原英資氏

ここまで消費税増税が避けられないこと、国債依存度が現在のままならば、タイムリミットは10年もないことを強調しました。財政赤字の問題を無視して日本経済のよしあしを論じても、意味がないからです。ただし、この問題は、まだしばらくは一時的に棚上げにすることができます。そして、日本経済は好調な状況が続くでしょう。

2013年11月初旬までに出そろった各社の9月中間決算(13年度上半期)の数字を見ると、トヨタ自動車・日産自動車・ホンダ・スズキ・ダイハツ工業の自動車5社が上期販売実績で過去最高を記録。電機メーカーはパナソニックが過去最高益、日立製作所・東芝・三菱電機も好調。携帯電話大手ではソフトバンクとKDDI(au)が売上高・利益とも過去最高を記録。証券大手5社も大幅増益という具合です。

こうした傾向が続くようなら、14年は、そこそこ経済がよい年になります。

ただし、13年秋の時点では、たとえばタクシーに乗って運転手さんと話すと、「タクシー業界では、景気がよくなった実感はまだまだありませんよ」という声を聞きます。テレビの街頭インタビューでも、「景気がいいというが、私たちの生活は依然として苦しい」と答えている人をよく見かけます。

右に紹介したのは日本を代表する輸出企業や大企業です。しかも、好景気は「景気がよくなり、ものが売れはじめる」→「企業が設備投資など生産を拡大し、賃上げしたり雇用を増やしたりする」→「人びとの所得が増え、さらに景気がよくなっていく」という段階を踏んで、徐々に拡大していきます。賃金の引き上げまでには、必ずタイムラグがありますし、業界や地方によって、まだら模様になることも避けられません。

『これから7年、先読み!日本経済』
著者=榊原英資
アスコム  / 定価1,050円(税込み)


◎内容紹介◎


アベノミクスによる円安株高、消費税増税、東京五輪開催決定・・・。大きく動き出した経済、この回復基調は続くのか。日本のひとり勝ちはあるか。為替を知り尽くした「ミスター円」が、日本と世界の未来を先読みする!

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