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安倍首相はついに「パンドラの箱」を開けてしまった! 靖国「電撃」参拝で懸念されるアメリカとの乖離
〔PHOTO〕gettyimages

暮れに青天の霹靂のようなニュースが飛び込んできた。安倍晋三首相の靖国神社参拝である。

12月26日は、安倍晋三政権1周年の記念日だった。私がその1年間を振り返る原稿を書いていた矢先、ソウルの韓国メディアの知人から電話が入った。

「いま安倍首相が首相官邸を出て、靖国神社に向かった。この『一周年参拝』をどう見るかコメントしてほしい」

「えっ、そんなバカな?」

私は急いでテレビのスイッチを捻った。テレビ局はヘリコプターを出動させて、安倍首相が乗ったリムジンを上空から追いかけていた。ヘリコプターの中からレポーターが叫ぶように伝えた。

「いま安倍首相が、靖国神社に到着しました。車から降りて出迎えを受けました。モーニング姿で、硬い表情を崩していません。『待ってたぞ!』と参拝者たちの歓声が上がっています」

私は、その光景を目にしてもまだ、信じられなかった。安倍首相は、ついにパンドラの箱を開けてしまった。

参拝してもアメリカから非難されることはないと判断

実は、安倍首相の靖国参拝に関しては、「行く」という説と「行かない」という説が、錯綜していた。私も様々なルートから取材したが、「行かないだろう」と思っていた。結果的に間違っていたのだから、私は記者として失格だ。

私が「行かない」と判断した主な根拠は、2つあった。1つは、外務省関係者の次のような証言だった。

「この1年間の安倍首相の行動パターンを見ていると、安倍首相は、自らの意志とアメリカの意向という『2つの要素』によって決断している。そしてこの2つの要素が対立する場合には、常にアメリカの意向を優先させている。実際、外務省でも、『アメリカの意向に従うことが、すなわち日本の国益なのです』と、安倍首相を説き伏せている。

靖国参拝に関して言えば、アメリカは明確に反対だ。10月3日に東京で2+2(日米安全保障協議委員会)を開催した際、来日したケリー国務長官とヘーゲル国防長官は、2+2が開かれた当日朝に、わざわざ靖国神社の近くにある千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪問した。これは安倍首相に対して『靖国には行くなよ』という暗黙のメッセージだった」(日本外務省幹部)

もう1つは、東京のアメリカ大使館関係者の、次のような証言である。

「靖国神社には、日本軍のハワイ真珠湾攻撃を礼賛する展示館(修猷館)がある。そんなところを安倍首相が参拝すれば、中国や韓国ばかりか、アメリカをも敵に回すことになる。そのことはすでに様々なルートを通じて、安倍政権にも伝えてある。安倍首相は、まさかそれでもあえて参拝するほど愚かではないだろう」

こうしたことから、私も安倍首相が電撃参拝するとは思わなかったのだ。

だが、私の考えは甘かった。安倍首相の参拝を受けて、前述の外務省関係者に、改めて聞いてみたところ、次のように語った。

「安倍首相は、靖国参拝の前日に、過去17年間も日米関係のトゲとなってきた在日米軍普天間基地の移転問題を大きく前進させた。アメリカが望む名護市に移転することで、仲井真弘多沖縄県知事と合意したからだ。これは、岸田外相と仲井真知事との個人的な人間関係によるところが大きかった。これによって、アメリカの面子を立てた安倍首相は、靖国に参拝してもアメリカから非難されることはないと判断したのだ」

実際は、東京のアメリカ大使館が、「日本の指導者に失望した」という声明を発表。岸田外相がケネディ大使に電話して釈明するという事態となった。

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