2014年、回復する日本経済に「空前の人手不足」が立ちはだかる!

2013年もあとわずか。経済や株式市場は、アベノミクスに始まり、アベノミクスに終わる1年間だったと思います。

「アベノミクスは偽薬である」ということを言い出した評論家がいて、これは本当にうまいことを言ったと思います。実は私もそう思っているからです。景気回復にたちどころに効く薬なんて、存在しないとは言わないけれども、作るのは非常に困難ですし、効く薬であればあるほど副作用がこわいという問題もおきます。ですから、そもそもそんな薬なんかなくて、使ったのは「偽薬」である、というのは一定の説得力を持ちます。

偽薬効果(プラシーボ効果)とは、ブドウ糖などが入った、薬効も害もない「偽の薬」でも、それを薬だと言われて飲むと、「薬を飲んだ」という安心感から一定の効果が出ることを言います。要は、アベノミクスによる株価の上昇は薬としての効果ではなく、みんなが「効くかもしれない」と思ったことが上昇の要因になった、というわけです。ただ、偽薬説を唱えている人たちは「だからアベノミクスは実態がなく幻だ」という論を展開をすることが多いように思います。

アベノミクスは言うまでもなく「3本の矢」で成り立っています。金融政策、財政政策、そして成長戦略です。一番鮮やかに効いたように見えるのが1本目の金融政策。黒田東彦・日銀総裁の登場までの過程と、彼の行なった異次元の緩和政策などが円安を演出し、輸出企業を中心とした大企業の成長期待を生み出しました。それが、日経平均株価指数の株価上昇要因になっていると思われます。

しかし、2本目の財政政策は景気に強いインパクトを与えているとは思えず、3本目の成長戦略も目立った成果が出ているようには見えません。そして、そんな簡単に成長戦略が出てくるとも思えません。

「アベノミクスは偽薬」説に賛同しつつ、その効果を評価する

現在の日経平均株価指数の株価水準は、12月24日のザラ場中に16,000円を突破し、非常に好調です。現在のPERが16倍です。連日最高値を更新しているニューヨークダウのPERが15倍程度ですから、割高でも割安とも言えない水準ではないかと思います。5月23日のバーナンキショックを乗り越えて、5月22日の水準まで株価は戻ってきました。

ただ、5月23日とは違う点が2つあります。

①バーナンキショックといわれた、バーナンキFRB議長の緩和縮小懸念で下げた株価も、実際にその出口戦略が明確に示されたことにより、相場に安定感が出てきたこと。

②5月から半年以上、日柄調整があり、半年分時間がたったことで、今期から来期の企業業績を株価に織り込み始めたこと。

以上より、日本株が短期的に大幅な調整がある可能性は薄いと考えています。現状の株価水準は、目先の104円の円安水準と好調な企業業績から考えると「適正水準」と言えると思います。割高とは思えませんが、一方で割安にも見えません。今後の株価の上昇は、企業収益が上昇するか否かにかかると思います。

「アベノミクスは偽薬である」という説に、私もある意味、賛成だと言いました。リーダーが示すべきものは、まずビジョンやミッションであり、そのような志は意志さえあれば示すことができます。安倍首相が掲げたのは「デフレの解消」というビジョンであり、頑張った者が報われる社会にしようというメッセージでした。それこそが民主党時代には決定的に欠けていたものです。

昨年の野田総理の解散宣言から、事実上のアベノミクス相場が始まっています。自民党の政権交代が必須の状況下で、事実上、次の首相であった安倍氏のデフレ脱却宣言に対し、民主党政権で前向きな改革がされないことにイラついていた海外の投資家が大いに期待したのもよく理解できます。株価は「PER(人気)×EPS(利益)」の掛け算で表現できますが、まずはこのPERに点火をしたのがアベノミクスの初期の状態です。

日経平均指数はこのPERの上昇により大きく上昇していくわけですが、それは実体景気とは関係ない動きです。しかし、このような期待で動くのも株価形成としては極めてまっとうなことなのです。

そもそも、現状の円安も景気回復も、安倍さんが首相にならなくても起きていたでしょう。アベノミクスを始める少し前から為替は円安に振れていて、景気も少しずつ回復基調でした。というのも、景気は循環するからです。過去、循環しない景気は見たことがありません。無限に上昇する景気もなければ、無限に下降していく景気もありません。

人間が営んでいる限り、景気は循環し、たまたま景気の循環期の下降から上昇局面に差し掛かった時に安倍さんが首相だったということだと私は認識しています。おそらく民主党政権であっても、株価の上昇も景気の上昇も起きたでしょう。まさに景気が回復するとば口に登場したのが安倍さんだったという、とてもよい巡り合わせだったと思います。

株価は「PER(人気)XEPS(利益)」で表されると言いました。EPSは現在、1000円くらいを予想しています。PERは現在16倍です。もし民主党政権のままであったら、ざっくりEPSが900円程度(民主党政権が金融緩和措置を取らない前提で、今より円高であることを考慮して)、PERが14倍ぐらいで、12,600円ぐらいだったのではないでしょうか。

偽薬であれなんであれ、経済や株式市場には効く(と思われる)薬の投入が求められていたのであり、その意味ではアベノミクス相場は評価できるというのが私の意見です。その期待感がPERに反映されているということです。米国市場の15倍を上回る「期待」があるわけですから。

ただ、それがバブルというほど高くはなく、適正水準にあるというのが私の見立てです。米国で15倍、日本で16倍ですし、歴史的なPERの水準から考えても「普通」の居場所です。これをPBRや株式市場全体の時価総額を名目GDPの水準と比較しても違和感ないところだと思います。

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