集中連載「健康市場の〝黒船〟」 第3回
「自己責任」「事後監視」型の新制度活かし、サプリを成長産業に!

[Photo]Bloomberg via Getty Images

【第2回】はこちらをご覧ください。

これまで2回の連載記事で、アベノミクスによる健康食品に関する規制緩和について論じ、導入の社会的な背景、メーカーや業界団体の反応などを中心に解説してきた。最終回の今回は、消費者にとってどのような影響が出るのかを考えてみたい。 

トクホの低迷が示す、日本の健康食品の後れ

その前に、日本では機能性を表示できる特定保健用食品(トクホ)や栄養機能性食品の制度があるのに、なぜ、新たに健康食品に機能性が表示できる規制緩和を実施するのかについて説明する。

トクホは認可までに平均で4年以上かかり、開発投資も1件で数億円以上必要となる。その投資を回収するために油や飲料など大量生産型の商品しか出てこない傾向にある。

さらに問題なのは、トクホでは人体で臨床試験も行うが、開発側にとって都合の良いデータのみを提出でき、それを厚生労働省の天下り先が認証するシステムとなっている。「海外の常識ではトクホで表示されている機能性は科学的根拠とは見なされない」(日本医師会関係者)との指摘もあるほどだ。

斬新な商品も出ていない。最近では「炭酸飲料」のトクホが出回り、糖や脂肪の吸収を抑えるなどの機能性が謳われているが、その主成分は古くから研究成果が出ている食物繊維の「難消化性デキストリン」だ。

他の商品もありふれたビタミンやミネラルが中心。消費者はそのへんも見透かしており、トクホの市場規模は2007年の約6800億円をピークに年々減少し、今では5000億円程度にまで落ち込んだ。

これに対し、米国メーカーの商品は「フィトケミカル」と呼ばれる、動けない植物などが紫外線など「外敵」から身を守るために発する成分、たとえばルテインやリコピンなどを含む新しい商品が多い。企業自らがこうした有効成分の開発に取り組み、論文などエビデンスを世界から集めている。もちろんこちらの方が市場規模は大きい。こうした点でも日本のサプリメーカーは出遅れている。

連載一回目でも指摘したが、一流メーカーである花王が造ったトクホの「エコナ」でさえも、発がん性物質が入っていたことが発覚、トクホの信用を傷つけ、低迷に繋がっている。

トクホや栄養機能性食品以外の日本の健康食品でも、一部はその有用性を疑ってしまう。日本の食材は安心安全という「神話」の延長線上で、日本製サプリは大丈夫と考えている消費者も多いのではないか。また「米国の食物は農薬まみれ」という、これも誤った認識の延長線上、米国製サプリを危険視する向きもある。

日本と米国のサプリの規制状況を比較すると、米国は企業の自主責任を謳いながらも、新規原料の採用については発売75日前までに食品医薬品局(FDA)に届ける義務があるのに対し、日本はない。米国では、第三者認証であるGMP認証工場での製造義務も課せられているが、これも日本では義務ではない。米国では監督官庁のサプリに関するガイドラインは815ページ分も記載されているが、日本は5ページ分しかない。

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