読書人の雑誌『本』
『PENGUINS 地球にすむユニークな全19種』著:藤原幸一---スーパーバードに魅せられて

1億年前、ペンギンの祖先は大空を飛ぶ鳥だった。そして7000万年前に、ペンギンの祖先は空を飛ぶことをやめてしまった。水中により長くいて大好物の魚をいっぱい獲れるようにと、体を変えていったのだ。やがてペンギンは、水中を猛スピードで飛行するスーパーバードになった。

たくさんの化石が発見されている。化石から4500万~1800万年前の地球には、2m近い巨大なまるで力士のようなペンギンが森で暮らしていたり、長身でスリムなファッションモデルのようなペンギンが登場したり、何のためかよく分からないけど剣のような長いくちばしを持つペンギンがいたりと、珍奇異色で多種多様なペンギン大繁栄時代があったことが分かっている。

その末裔である現在のペンギンたちも種類こそ減ってしまったけれども、極寒の南極でも繁殖でき、かたや熱帯ガラパゴスでも子育てをしている。さらにニュージーランドの太古の森でも、荒涼としたアフリカや南米の砂漠でも暮らしている。ぼくが出会った野生のペンギンたちはまさに、たくましいスーパーバードそのものだった。

これまで世界中のペンギンを撮影するためにペンギン生息地をたくさん観察してきた。ほとんど人間も訪れることもない絶海の孤島だったり、砂漠のはてにある海岸だったり。そうした場所で、思いもかけないペンギン生活に出会ったりした。コンブの海から上陸して険しい岩山を足だけで登り、何度も海に転落しながらもチャレンジして山を登りきった勇ましいスネアーズペンギンの大群。南極では目の前で50万羽のアデリーペンギンが、微笑ましいほどにいっせいに愛を奏でていた。

白い大陸を腹ばいで2列になって向かってきて、ぼくの横を通り過ぎて行ったエンペラーペンギンの群に驚くと同時に、そのしなやかな光沢と気品にみちた容姿となめらかな美しい動きに感動した。自然で出会うペンギンたちはみんな輝いていて、神秘な美しさにみちていることを知った。

写真を撮るとき、ぼくはなるべくうつぶせになって、ペンギン目線になったつもりで撮影を試みる。普通に歩いてペンギンに近づくと、ぼくが巨大な恐竜にでもみえるのか、たいがい怖がって走り去ろうとしてしまう。でも視線を下げて待っていると、ペンギンたちも徐々に心を開いてくれて、「つんつんつん」とぼくの長靴やカメラケース、しまいにカメラのレンズをつつき始めていた。

恐怖心が好奇心に変わったのか、いつのまにかペンギンとぼくとにあった深い溝がとり払われ、友情が芽生えていた。毎日ペンギンと会っているうちに、彼らと会話できるような気になってきた。

 
◆内容紹介
世界初、アデリーペンギンの子育てに密着!6割以上のペンギンが生存の危機に直面。ペンギンが絶滅した地球に暮らせますか?---地球に棲む全19種のペンギンを、クオリティの高いベストショットで見せる、貴重な写真集。子育て過程をしっかり押さえた、決定版!