社員一人一人が経営者---ハイアールCEO・張瑞敏が行き着いた「人事改革」とは
文/モーニング編集部
自身の経営哲学を語る張。「モーニング」に掲載の漫画版では、島耕作と"直接"対面する
好評のため、10月から毎週放送となったNHK BS1『島耕作のアジア立志伝』。番組で扱ったテーマを「島耕作」の作者・弘兼憲史氏が独自の切り口で再構築した漫画版『島耕作のアジア立志伝』5回目は、2014年1月9日(木)発売の「モーニング」に掲載されます。5回目で取り上げるのは、「白物家電」で世界ナンバーワンのシェアを誇るハイアールのCEO・張瑞敏(ちょう・ずいびん)。独特の人事制度で社員のモチベーションを劇的に高め、ハイアールを劇的に飛躍させた世界有数の敏腕経営者。本欄では、NHKの取材スタッフの話をもとに、張の掲げる人事革命とその成功の秘訣を本人のコメントともに紹介します。

最初の「課題」は従業員たちの意識改革

冷蔵庫や洗濯機などの「白物家電」で世界ナンバーワンのシェアを誇り、165の国と地域に製品を送り出している家電メーカー・ハイアール。青島(山東省)の冷蔵庫工場が巨大企業に変貌を遂げた秘訣は、CEO・張瑞敏の将来を見すえて継続的に行う「改革」にあった。

張は社員のあるべき姿を青島の海岸に喩えて、こう語る。

「青島の砂浜に残した足跡は美しくても、波がくれば消えてしまいます。つまり、人は過去ではなく未来を見るしかないのです。部下が『すべて順調です』と報告したら、私は『帰れ』と言います。なぜなら、現状に満足している者は何の課題も見つけられないからです」

1984年に西ドイツから最新の冷蔵庫の製造技術を持ち帰り、青島の冷蔵庫工場の工場長に就任した張にとって、まず手を付けなければならなかった「課題」は従業員たちの意識改革だった。

ある冬の日、初めて訪れた工場で張が目にしたのは信じがたい光景だった。

操業日だというのにガランとした構内。生産ラインは止まっている。工場内では従業員が暖をとるために窓枠を剥がして薪にしている---。

「トイレは屋外に一つしかなく、雨の日は工場内で大小便をする始末でした。私の最初の仕事は、工場内で用便をするな! 材料を盗むな! といった最低限のモラルを求める訓令を出すことでした」(張)

「ハンマー事件」をアニメで再現。「ハンマーで叩いたのは不良品ではなく、従業員の意識だった」と従業員から言われる画期的な出来事だった。
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