雑誌
金正恩 頭のネジがぶっ飛んだ 「ナンバー2」に続いて、次々に吹き荒れる粛清の嵐
張成沢が引っ捕らえられる瞬間を撮った写真が、朝鮮中央テレビで大々的に報じられた〔PHOTO〕gettyimages

「馬鹿は薬では治らない」。そんな朝鮮の古い諺を地で行くのが、いまの金正恩だ。もう誰も止められないトップの暴走。「悪で築いた暮らしは悪で滅びる」。朝鮮の諺は正恩の未来をも、すでに予言している。

張成沢を即日処刑!

北朝鮮の冬は、零下20℃を下回る寒さだ。だが、この冬は「平壌奥の院」で権謀術数が渦巻き、幹部たちにとってもひときわ寒い冬となっている。

そんな中、12月17日に、金正日総書記が死去して2周年を迎える。北朝鮮の儒教の風習によれば、翌18日に「父親の喪が明ける」ことになる。

これによっていよいよ、金正恩第一書記が全権をもって統治する新時代が始まる。平壌では、金正恩新時代の到来を祝うイベントを準備中だ。

金正恩は、そんな新時代の幕開けの「露払い」をするかのように、12月8日、日曜日にもかかわらず、朝鮮労働党中央政治局拡大会議を招集した。そしてその場で、長期にわたって北朝鮮のナンバー2として君臨した張成沢党行政部長兼国防委員会副委員長を、前列の席から連行し、失脚させるという挙に出たのだ。

さらにその場面を撮った写真を、翌日の朝鮮中央テレビで流し、張の女性問題や麻薬問題にまで言及するという前代未聞の措置を取った。

「金正日の料理人」藤本健二氏が、ため息交じりに語る。

「金正恩大将(第一書記)は、断腸の思いだったでしょうが、それでも頭のネジがぶっ飛んでしまったとしか思えません。あの不動のナンバー2の張成沢部長を引っ捕らえる無様な写真を流すなんて。まったく、いま平壌で起こっていることが信じられません」

藤本氏は、金正恩第一書記の幼少時からの遊び友達で、張成沢とも長年の友人関係にあった。昨年7月に金正恩第一書記や張成沢部長と、11年ぶりの再会を果たし、その時の晴れがましい模様を綴った著書『引き裂かれた約束』がベストセラーになっている。金正恩体制による北朝鮮の変革に期待していただけに、ガックリなのである。

それにしても、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』(12月9日付)の張成沢批判は、容赦がなかった。

〈張成沢は、朝鮮人民軍最高司令官の命令に服従せず、反革命的な行為を恐れることなく強行した。張成沢は資本主義生活スタイルに染まり、不正腐敗行為を働き、堕落した生活を送った。何人もの女性と不当な関係を築きながら、高級食堂で酒食に溺れた。

思想的に堕落し、極度の安逸に耽り、麻薬に手を出した。そして党の配慮で他国で病気治療中に外貨を稼ぎ、賭博場に入り浸っていた〉

他にも、ドジョウ、ネズミ野郎、不良人間、腐敗物……と、張成沢部長を指すえげつない言葉が並ぶ。そして、〈張成沢が消えたおかげで、今日の平壌の空は明るく晴れわたっている〉と結んでいる。

まさに、「そこまで言うか」と思うほどの、ヒステリックな非難ぶりだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら