世界中のどこも、経験したことがない社会「認知症800万人時代」この国に何が起きるのか 65歳以上の4人にひとり、80歳以上は2人にひとり

2014年01月21日(火) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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日本経済にもダメージが

認認介護の現場では、いつ何が起きても不思議ではない。たとえば今夏、記録的な猛暑の中で87歳の夫と78歳の妻が自宅で熱中症で倒れているのが発見され、介護していた側の妻が亡くなった。

また、'09年には富山県で、認知症の妻が認知症の夫を殺害する事件も発生。介護していた妻が、おむつを替えるのを嫌がる夫を叩き続けて殺してしまった。妻は、自分が何をやったかも、夫がなぜ死んだのかもわからないままだという。

在宅医療の第一人者・「川崎幸クリニック」院長の杉山孝博医師は、認認介護の現状を危惧する。

「夫婦ともに認知症になれば、介護どころか生活が成り立たなくなる。すでに、80歳以上の夫婦の11組に1組が認認介護の状況にあります。将来的に、認認介護は増え続けるでしょう。一人が亡くなった後、残ったほうの症状が劇的に重くなるケースも多いです」

また、アメリカで行われた研究では、高齢の夫婦で一方が認知症だと、もう一方も認知症となるケースが、そうでない場合より6倍多いという。「認知症が認知症を呼ぶ」—そうして、800万人もの認知症患者が街に溢れたら、この国はいったいどうなってしまうのだろうか……。

「70歳の男性の行方が分かりません。服装は緑のセーターに灰色のズボン。お心当たりがございましたら、××市役所までご連絡をお願いします」

すでに認知症高齢者が800万人を超えた20××年の日本では、1時間に一回、街頭拡声器で高齢者の迷子放送が繰り返される。

交通渋滞は、日常茶飯事。認知症高齢者による交通事故が多発するからだ。事故を起こすほうも、事故に遭うほうも認知症高齢者が圧倒的に多い。

警察は、巡回する警官の人数を3倍に増員。徘徊、交通安全の取り締まり、そして頻発する高齢者による万引きに眼を光らせる。刑務所は、3分の2が65歳以上の入所者で占められ、まるで老人ホームのようだ。

施設は5年先まで満床。そのため、ただでさえ労働人口が減っているのに、在宅介護を余儀なくされた若者が仕事を辞めて世話をする。貧困家庭が増え、消費減少で日本経済にも深刻なダメージを与えている。

急増した認認介護の夫婦は、二人とも口座の暗証番号を忘れ、手元にお金はゼロ。近隣住民は、自分の親族の介護に手いっぱいで余所に目を向ける余裕はない。悲惨な最期を迎える高齢者夫婦は後を絶たない—。

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