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国民的大議論 放射性廃棄物 原発のゴミ 東京に「処分場」を なんでも福島に押しつけるのはヘン、最大消費地に作るのがスジ
「福島第一」の名を消し、事故を風化させようと与党は目論む〔PHOTO〕gettyimages

福島から出たものは福島へ—。一見、スジの通って見える論理を使って、いま政府・与党は福島を「すべての核のゴミを捨てられる便利なゴミ箱」に仕立てようとしている。このままではいけない。

もう福島はダマされない

「私を含めて、県民の大半は、今回の『中間貯蔵施設』という文言を、そのまま信じてはいません。時間の経過とともに、それは期間を延長され、やがては『最終処分場』へと名称を変えていくのだと思います」

元福島県議の伊東達也氏はこう語る。

「本来であれば国は、これが最終処分場になると明言すべきなんです。いくら時間がかかろうが、とことん県民や地域住民と向き合って、一過性の説明会のようなものではなく、町で把握している全住民に通知を出して参加してもらい、過半数の信任を得る。それが、このような甚大な被害を出した、国の最低限の義務というものでしょう」(伊東氏)

政府はいま、東京電力福島第一原子力発電所の周辺に、福島県内の除染で出た、放射能を帯びたゴミ(放射性廃棄物)の中間貯蔵施設を作ろうとする動きを加速させている。

中間貯蔵施設とは、いわば原発のゴミの〝一時保管場所〟だ。

除染作業で集められた市街地の土や落ち葉などは、現状では各地に設けられた仮置き場に山積みになっている。増えつづけるゴミは仮置き場の収容能力を超え、除染作業そのものがストップしてしまう事態になった箇所もある。

そこで大規模な中間貯蔵施設を建てて、放射性廃棄物を受け入れようというわけだ。

それだけ聞くと、まともな計画に思えるかもしれない。だが、その裏には、政府・与党のとんでもない思惑がうごめいている。

政府は、建設費約1兆円とも言われるこの施設を、あくまで「一時的な」保管場所だと強調。候補地での地質調査を前に公表された『中間貯蔵施設の調査について』というパンフレットにも、「貯蔵開始後30年以内」に「福島県外」で最終処分を「完了」する、と書かれている。

だが冒頭の伊東氏のように、福島の人々はその言葉を信用していない。県外に最終処分場ができる見通しなどまったくないからだ。

'00年以降、国はNUMO(原子力発電環境整備機構)に放射性廃棄物の処分を担わせ、'02年からは全国の市町村に、処分場の候補地にならないかと働きかけ、公募を行ってきた。

候補地探しの武器は、「最終処分場の調査だけでも受け入れればジャブジャブ補助金を出す」という、〝補助金漬け〟の手法。カネの力で反対派を黙らせ、窮乏にあえぐ過疎地の地方自治体を釣ろうという、あざといやり口である。そこにきて、あの大事故が起きたのだ。

さすがに最終処分場が決まらなかったのは当然と言えるだろう。

結果、原発は脱原発派から「トイレのないマンションだ」などと批判を浴びてきた。政府・与党としては一刻も早く最終処分場を確保して堂々と原発を再稼働したいのがホンネだ。

そこで目をつけたのが、この中間貯蔵施設の事業なのである。政府がこれを足がかりに、なし崩し的に福島を〝原発のゴミ処分地〟にしようとしていることは明らかだ。

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