「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第29回】 来年はどのような年になるのか?

〔PHOTO〕gettyimages

早いものでもう年末である。読者の中には、正月休みに入られた方もいらっしゃることだろう(残念ながら証券会社は30日まで営業している)。そこで、年末恒例の行事として、筆者も先輩に見習い、来年の世界経済の見通しを干支(えと)になぞらえて考えてみた。

来年の干支は、甲午(きのえうま)である。日本における陽明学の大家である安岡正篤氏の『干支の活字 安岡実篤人間学講話』によれば、甲は草木の芽が殻を破って頭を出した象形文字であり、「旧体制が破れて革新が始まる」という意味を持つ。

また、午は、「陽の極地」であるけれど「一陰が陽を冒して上昇する」という意味を持つらしい。この甲と午を組み合わせると、2014年は、「2013年に始まった新しい流れが途切れることはないものの、懸念材料も出てくる年」ということになろうか。

一進一退の展開になる可能性

2013年の日本経済における最大のトピックは、やはり「アベノミクス」だろう。

その中でも特に、新体制になった日本銀行による4月4日の「異次元の金融緩和」は、旧来の日本銀行の金融政策(デフレは人口減少などの「構造要因」によるものであり、金融政策だけでは対処不可能とする)の常識を打ち破り、「金融政策によってデフレを克服する」という新日銀執行部の強い意志表示が株価を大きく押し上げ、円安の流れを作った。

この「アベノミクス」の流れを「革新」ととらえれば、2014年の日本経済も、引き続きデフレ脱却を続ける可能性が高いと考える(ちなみに前回の甲午は1954年で、日本では高度経済成長が始まった年とされている)。

〔PHOTO〕gettyimages

一方、懸念材料として考えられるのは、やはり4月からの消費税率引き上げかもしれない。消費税率引き上げ後、景気の悪化に苦しみ、その後、何度か量的緩和政策が強化されたイギリスの例を考え合わせると、消費税率引き上げ後に日本銀行が量的緩和の拡大を数回行う事態も十分にありえる。

イギリスは2011年1月に消費税率を引き上げた後、景気の低迷に苦しみつつも、オリンピック需要に伴う建設投資の拡大、及び、量的緩和の拡大に伴う資産価格(株式、不動産)の上昇によってなんとか景気の底割れを防いでいる。

現在の株式市場は、消費税の影響など念頭にないかのように強気に傾きつつあるが、筆者は、2014年の日本経済が、2011年以降のイギリスと同様、追加的な金融緩和と財政再建の板ばさみによって、一進一退の展開になる可能性が十分にあると考えている。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら