安倍政権が抱える課題と野党再編の行方-来年の政治はこうなる


 10月の所信表明演説以来、ずっとひっかかっていた言葉を首相・安倍晋三は来年度予算案を決めた、21日の政府与党政策懇談会でふたたび使った。「津々浦々」という表現だ。

「(予算案を)1日も早く成立させ、早期に執行していくことで、足元の景気回復を全国津々浦々に届け、力強い経済成長につなげていきたい」

 津々浦々とは「いたるところの津や浦。全国いたるところ」(「大辞林」)という意味。そんなことができるのだろうか?

課題は景気回復の実感と原発再稼働

 政府は同日の持ち回り閣議で2014年度の政府経済見通しを決定した。この中で14年度の消費者物価指数の上昇率を3.2%と予想した。このうち、2%分は消費税が来年4月から3%引き上げられる影響だ。

 単純計算すれば、賃金が来年度、一時金を含め3.2%分上がらなければ、大多数の国民にとってはアベノミクスで生活はかえって苦しくなったということになる。そうなれば、津々浦々から怨嗟の声が上がるという皮肉な結果になるだろう。

 特定秘密保護法成立で強引な国会運営をしたことによって、内閣支持率は10%程度下がった。マスコミの報道ぶりから見て支持、不支持が逆転しても不思議ではなかったのに、この程度にとどまったのはアベノミクスによって生活が良くなるという期待感があるからである。来年4月以降、この期待感を維持し続けられるかどうかが政権の根幹にかかわる問題だ。
 

 もう1つ、政権を見つめる国民の心理に大きな影響を与えるのが原発再稼働だ。安倍は20日昼のTBS番組で、運転停止中の原発について「(原子力規制委員会による)厳しい基準で安全と判断されたところは再稼働したい」と述べ、安全基準を満たした原発の再稼働に積極的な姿勢を表明した。

 安倍は自身が前面に立って説明する覚悟を決めている。と同時に、反対意見にも十分に耳をかたむけている姿勢を示すことで反対・慎重派が和らぐのを狙っている。

 先のテレビ番組で、原発の即時ゼロを求めている元首相・小泉純一郎の発言を「国民の声を代表する一つの意見だ」と評価してみせたのはその一環だ。また、「週刊現代」(12月21日号)に昭恵夫人が登場し、脱原発を唱えることを容認したのも、反対・慎重派に配慮する高等戦術と見たほうがいいだろう。

 こうした作戦が仮に失敗し、支持率が不支持率を下回る事態になっても、政権が崩壊することにはならないだろう。景気回復や原発再稼働を自民党の多数が支持し、後継の筆頭に挙げられる幹事長・石破茂も徹底的に支える考えだからだ。また、安倍が右寄りの保守路線を取る限り、支持層の岩盤が崩れることはない。

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