経済・財政
とうとう量的緩和縮小に踏み切ったバーナンキ。今後のFRBの金融政策を定量分析から予測してみる


米連邦準備理事会(FRB)は12月18日、とうとう量的金融緩和の縮小を決定した。具体的には、市場から購入する債券の金額を現在の月850億ドル(8兆5000億円)から100億ドル(1兆円)減らし、月750億ドル(7兆5000億円)とする。購入額の変更は来年1月からである。ただし緩和のスピードをダウンさせたものの、緩和傾向であることに変わりない。

金融市場関係者の間で「テーパリング(tapering)」といわれていたことだ。この言葉は、バーナンキFRB議長が語った言葉で、量を減らすこと、つまり、量的緩和の縮小である。

アナリストやエコノミストで、これを長く待ち望んでいた人はちょっと怪しい。というのは、彼らは相場見通しを外してきたからだ。彼らは量的緩和を目の敵にし、量的緩和のリスクを強調する。量的緩和の効果がわからない。そのため、1年前の言動をネットで調べれば、例外なく今年の株価、為替、金利の見通しを外している。

今回の米国での量的緩和縮小が、きちんと説明できているか、どうかでアナリストやエコノミストの力量がわかる。これまで縮小すると言い続けてやっと当たりになった人や、今回がバーナンキ議長の最後の会合であることからその花道とかいう日本人好みの説明をする人は、まったくあてにできない。

日本のメディアが報じないFRBの公式資料から考える

そもそもバーナンキ議長の発言のみから説明する人はどうかと思う。

FRBは、量的緩和について、以前から「6.5%の失業率と2%のインフレ率」という明確な条件を示している。筆者は、プリンストン大にいたとき、バーナンキ議長には個人的に薫陶を受けたが、きわめて合理的な人で、説明はほとんど定量分析だった。だから、今の金融政策から将来を見通して、そうした条件になるかどうかをチェックすればいい。

まず、事後的に、なぜ今回量的緩和の縮小になったかを説明するだけなら、FRBの公式資料からもわかる。それは、FRBのウェブサイトにでているFOMCの見通し(予測)だ。これを日本のマスコミがほとんど報道しないのは不思議である。この公式資料に言及しないアナリストやエコノミストの説明も怪しい。


18日の見通し(http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcprojtabl20131218.htm)では、2014年の失業率見通しは6.3~6.6%となっている。これは6.5%を切るという数字だ。一方、前回の9月の見通しは6.4~6.8%だ。これではまだ6.5%より高い。インフレ率は今回も9月も2%弱なので、失業率で6.5%を切った今回が、一つのメッセージを出すタイミングだったわけだ。

足元の11月の経済指標をみると、日本のコア指数に対応し基本的な物価動向を示す米国コア消費者物価指数(食料・エネルギーを除く)は前年同月比で1.7%、失業率は7.0%だ。FRBが指標に採用している個人消費支出価格指数上昇率は、2013年7-9月期で1.1%だ。それらを踏まえたうえで、上に述べたような見通しであるから、今回の量的緩和の縮小への第一歩になった。

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