[MLB]
杉浦大介「“コアフォー”時代を終えて」

~ヤンキースの新たなチームづくり~

プレーオフ逸で大補強を敢行

 “悪の帝国”の復活――。今オフのヤンキースの補強策を一見して、そんな風に感じる人も中にはいるかもしれない。

ベルトランの加入は大きいが、36歳という年齢は懸念される。Photo By Gemini Keez

 FA戦線解禁後に、ジャコビー・エルスベリー、ブライアン・マッキャン、カルロス・ベルトランを次々と獲得。自前のFA選手だった黒田博樹と再契約し、デレック・ジーターとも金額を上積みした上で1年契約を結び直した。

 さらにブライアン・ロバーツ、マット・ソーントン、ケリー・ジョンソンといったベテランも安価でゲット。加えてポスティング制度でのメジャー入りの有無が注目される田中将大(東北楽天)獲得の有力候補に挙げられるなど、今オフは故ジョージ・スタインブレナー元オーナーの生前を彷彿とさせる存在感を見せつけている。

 エルスベリー、マッキャン、ベルトラン、黒田という4人のFA選手に支払った総額だけでも約3億ドル。来季のペイロールを1億8900万ドル(贅沢税が発生しない額)の目標内に収めるのは難しそうな状況となっている。

 ここ2年のヤンキースは安価なベテランを応急処置的な形で獲得することが多かった。だが、今季は地区3位に終わり、この19年間で2度目のプレーオフ逸を経験したことで業を煮やしたか。同じくプレーオフに進出できなかった直後、4億ドル以上をつぎ込んでCCサバシア、AJバーネット、マーク・テシェイラを獲得した2008年オフを思い出す人も多いだろう。

 しかし……ロースターをより深く眺めていくと、首尾よく世界一奪還に成功した2009年と、2014年に予定されるメンバーには大きな違いがあることにすぐ気付くはずだ。

 5年前はいわゆる“コアフォー”と呼ばれるデレック・ジーター、ホルヘ・ポサダ、アンディ・ペティート、マリアーノ・リベラがまだ元気だった。アレックス・ロドリゲスも健在で、ロビンソン・カノのような自前の強打者も台頭していた。少々大ざっぱに言えば、すでにできあがったチームの足りない部分に、サバシア、テシェイラといったピースを当てはめれば良かったのである。