もはやメディア・リレーションズでは生き残れない。PRパーソンは生まれ変わる覚悟が必要だ! 【第3回】「配る仕事」と「集める仕事」

【第2回】はこちらをご覧ください。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、昨年末から、これからのPRパーソンはプロフェッショナルとして、どうやって進化していくべきなのかということを、少しまとめて発信しておこうということで3つのテーマを設定しました。

1.ブランデッド・ストーリーテリング:「ことを語るストーリテリング」
2.アウトバウンドとインバウンド:「配る仕事」「集める仕事」
3.データドリブン

今回は前回に引き続き、「配る仕事」「集める仕事」(アウトバウンドとインバウンド)についての話です。

マスコミの"特別感"が落ちてきた!?

私が"もはやメディア・リレーションズでは生き残れない"と言うのは、まさに、このアウトバウンドとインバウンドの発想の転換の所以です。この情報伝播の大変革は、消費者はもちろんですが、世の中の情報の伝わり方の変革なので、その構造変化の中にはマス・メディアやジャーナリストも当然含まれます。

旧来のメディア・リレーションズ中心のPRが厳しくなるのは、一つには、マス・メディアの影響力が昔と比べて相対的に落ちてきていることが挙げられますが、もう一つの大きな要因は、マス・メディア(記者や編集者や制作者)もネット上の様々な情報リソースからネタや素材を獲得できるようになってきているという環境変化です。

マス・メディアの影響力が落ちたという話はよく聞く話ですが、これは特にPRに限った話ではありません。ただ、PRの実践において、日本ではまだまだテレビや新聞の影響力が大きいのも事実です。そこで問題になるのは2つ目に挙げた要因です。さらに詳しく説明します。

従来PRというのは、マス・メディアに携わるジャーナリストや編集者、制作者という特別な人々に、情報を届けられる"メディア・リレーションズ"と呼ばれるこの活動こそが、PRパーソンの仕事の多くを占めていました。

マス・メディアやジャーナリストは、いち早くニュースを察知し、機密情報なども調べ、真実を掌握して国民に情報を配信するという特殊な仕事を担っているわけで、その彼らに情報を確実に届けることに価値があったわけです。郵便やFAX送信ではなくなく、会って話をして情報をインプットするためにはノウハウや経験、人脈が必要なのです。

ところが、まず、マスコミの"特別感"が落ちてきました。

いまもマスコミは、一般人では出入りできない国会や行政府や裁判所で取材を行い、政治家や企業トップ、タレントや有名人に直接話を聞くことができます。また、記者クラブのようなシステムもあります(記者クラブは今も存在していますが、一部のメディアによる閉鎖的な情報統制方法は、まさに時代に逆行する象徴的な存在となり、批判の的にもなっています)。

メディアとして、たくさんの人に一気に情報を配信するシステムを有しているという意味においては今も特別な存在であることに変わりはありません。しかし、マスコミが「いち早く」「誰も知らない」情報を握っているという前提は、かなりあやしくなってきているのです。

ただし、一方で、テレビはたくさんの人にわかりやすく、一斉に情報を配信するシステムとしては十分に機能していますし、新聞社や通信社の記事は、様々なニュース報道の情報源となっています。

ですから、私が直接的にPRパーソンの業務にかかわる問題として重要だと思うのは、記者や編集者、ジャーナリストと情報源との関係です。世の中にあふれる様々な情報からネタを探せるようになった彼らが、はたして一人のPRパーソンから得た情報だけで行動を起こすだろうかという問題です。これは一般の消費者がブランドを選択する際に、ネットで検索して様々な評判をチェックしてから行動を起こすのと同じです。

これは私の知人の記者の言葉ですが、「様々な取材のきっかけとなるネタをネットから引き出すことは少なくないし、裏取りや周辺情報収集としてネット検索は欠かせない」そうです。そんな彼らの日常において、一人のPRパーソンが情報源としてどれほどの役割を果たせるでしょうか。

いまも昔も、彼らは日々、自分が担当するコラムや番組に取り上げるべき情報や素材を探しています。ですから、どんな小さな情報でも、読者や視聴者を惹き付けるものであれば大歓迎でしょう。ただし、一つの情報はきっかけでしかありません。実際に取材に値するかどうかもわかならいネタを売り込まれるためにわざわざPRパーソンと会う時間をつくるより、ネット検索や様々なデータベースを漁った方が効率的だと考える場合も多いようです。

その証拠に、日本でもニュースリリース(報道関係者向けの発表文書)の配信システムはすっかり浸透してきました。つまり、情報伝播の構造変化の中で、"メディア・リレーションズ"のあり方を捉え直す必要があるということです。

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