もはやメディア・リレーションズでは生き残れない。PRパーソンは生まれ変わる覚悟が必要だ! 【第2回】アウトバウンドとインバウンド

【第1回】はこちらをご覧ください。

情報の伝わり方が大きく変わってきている

2014年に向けて、これからのPRパーソンはプロフェッショナルとして、どうやって進化していくべきなのか。今回はアウトバウンドとインバウンドの話です。

昨年2012年以降、「インバウンド」という言葉をタイトルに入れた何冊かの書籍が発刊されました。2009年頃から米国では「インバウンド・マーケティング」という考え方が浸透しはじめたようですが、日本も昨年あたりから、業界のキーワードになってきています。

〈 「インバウンドマーケティング」とは、Brian Halligan、Dharmesh Shah そして David Meerman Scottという、HubSpot という企業の創業者とボードメンバーによって流布された言葉であり、これまでの広告媒体の枠を購入したり、業界イベントに積極的に出ていくという「Outbound (外側に向かう)」マーケティングに対して、見込み客のほうから近寄ってきてくれるような「Inbound (内側に向かう)」マーケティングを指す。 〉アドタイ(2012年6月)の高広伯彦氏コラムより

私が2つ目のテーマに"アウトバウンドとインバウンド"を挙げたのは、マーケティング業界の流行として「インバウンド・マーケティングをチェックせよ!」といいたかったからではありません。"アウトバウンドとインバウンド"の議論から、「いま、情報の伝わり方(伝播の仕組み)が大きく変わってきている。プロであるならば、そのことに敏感に反応・対応しなくてはならない」といいたいのです。

2. アウトバウンドとインバウンド:「配る仕事」「集める仕事」

マーケティング・コミュニケーションには、当然のことながら、アウトバウンドとインバウンドの両方の要素が必要になります。例えば、素敵なパーティーを催したとしても、パーティーが開かれること自体を知らなければ誰もやってきません。人を集める(イバウンド)の前提として、招待状が配信(アウトバウンド)されるはずです。また、アウトバウンドの目的は、最終的にはインバウンドにあることも明らかです。

では、なぜ、2009年以降、インバウンド・マーケティングという問題提起が注目を集めているのでしょうか? それはおそらく、従来のマーケティング・コミュニケーションが、アウトバウンド偏重で行われてきからではないでしょうか。

先ほどのパーティーを例に言えば、どんな素敵な招待状をつくれば人が集まるだろうかと、招待状のコピーやデザイン、パーティーへの案内をメッセージするモデルやセレブに対して知恵とお金をかけてきました。

不特定多数のお客様をたくさん呼び込むためには、招待状を発送する前に、TVや雑誌やWEBで広告を打っておこうということになったり、できれば、パーティーに登場するセレブを使った記者発表会を行ったり、そのセレブのブログにも「皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」と書いてもらったりします。

さらに、データベースを使って、招待状を誰にいつ、どんな順番で届けるのが最も効果的なのかを解析して、最適で効率のいい配信方法を探ります。とにかく、外に向かって情報を配信することに苦心してきたわけです。しかし本来は、お気づきの通り、その前にパーティーの中身をもっと考えるべきなのです。

長い時間をかけて、パーティーの内容をさんざん議論し、考えつくしたとしても、結局のところ、誰もが会ってみたい、見てみたいと思うスターやセレブを登場させたり、一度は食べてみたい豪勢な料理や有名パティシエのスイーツを提供したりと、ありきたりな内容に陥ってしまいがちです。この悪循環の主な原因は、たくさんの人を集めるための最善策は、最適な招待状を最適に配ることだ、という発想にあるのです。

ここでいう"招待状"、つまり、気付いてもらうための方法が限定されるということは、肝心のパーティーの中身さえも、招待状でわかりやすく伝えられる内容に縛られていくということです。事実、かつてはそうだったのでしょう。ところが、長い時間を経てその習慣が"招待状ありき"の思い込みに変わっていくのです。

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