導入企業が増加中。確定拠出年金(DC)の賢い活用法7箇条

格付け投資情報センター(R&I)が確定拠出年金(DefineDContribution。以下、略称は「DC」)の大手運営管理機関3社に対して行った調査によると、今年の9月時点で、加入期間半年以上の加入者で元本割れに陥っている加入者は全体の2%にとどまり、通算の運用利回りの平均は年率3%台に乗っているという。

個人が嫌う元本割れが98%以上のケースで無くなったのは大変結構なことだが、「アベノミクス相場」でざっと7割も株価が上がった状況で、この利回りは、そう喜べない結果のようにも見える。かなりの数の加入者が、定期預金など、リスクを取らない運用を選択していたのだろう。

DCは、2001年から始まった制度だが、将来決まった額の年金を企業が運用リスクを取って支給しなければならない従来型の確定給付(DefineDBenefit。略称は「DB」)の企業年金に代わって、DCを採用する企業が増えていて、加入者数が増えており、今年の9月末現在、国内の加入者は461万人いる。

読者の中にも、DCを導入した、あるいは導入予定の企業にお勤めの方が多数いらっしゃるだろうし、個人型のDCを利用可能な方も数多くいるのではないだろうか。

掛金は所得控除、運用益は非課税…DCの二つのメリット

DCは、掛け金が所得控除されて課税前のお金で貯蓄・投資ができること、運用益が運用途中で非課税であることの二つが大きな税制上のメリットとなっており、加入者にとって明白に得な制度だ。現在、企業型と個人型の二つのタイプがある。

所得から控除して積立が可能な金額の上限は、企業型で他にDBの企業年金が無い場合、月額5万1千円、他にDBの企業年金がある場合に2万5500円だ。一方、個人が独自に加入する個人型では、フリーランスなどで厚生年金に加入していない個人の場合は6万8千円、サラリーマンで厚生年金に加入しているが、勤務先の企業にDB・DCいずれも企業年金制度が無い場合は2万3千円までの掛け金が所得控除できる。

勤務先の会社でDCがある方の場合、利用漏れで税制上のメリットを使い損ねるケースは少ないだろうが、勤務先企業が厚生年金に加入しているだけで、追加的な企業年金制度を持っていないサラリーマンで、個人型の確定拠出年金を利用していない人は数多くいるはずだ。

これは、年間27万6千円まで税引き前の給与から積み立てることができるチャンスを逃していることになり、大変もったいない。まして、厚生年金に加入していない自営業者などの場合、年間81万6千円もの金額が所得控除できるのだから、見逃せない。

なお、DCを導入すると、掛け金の分だけ従業員の給与が圧縮されるので、社会保険料も減額され、会社の人件費負担を軽減することができるので、企業にもメリットがある。未導入の企業は、DCの導入を検討する価値がある。

さて、DCでは、加入者自身が用意されたメニューの中から運用対象を選び、運用資金の配分を決めなければならない。DCが利用可能である場合、どのように運用するのがよいのだろうか。

前々回の本連載で、来年から導入されるNISA(少額投資非課税制度)の運用方法をご説明したが、運用を考える上で、DCはNISAと似た面がある。共に、運用益が運用途中で非課税であることが重要だ。

たとえば、DCに2百万円、DC以外に8百万円の金融資産を持っているサラリーマンがいるとして、「彼が株式で50%、預金・債券で50%で運用したい」と思っている場合、DCには全て期待リターンの高い株式への投資を割り当てるのが正解になる。DCの中で100万円ずつ株式と預金に配分する、あるいは、債券と株式両方に投資する「バランス・ファンド」に投資するといった運用を選択すると、自分の運用全体として、税制上のメリットを最大限に使うことができない。

NISAでも同様だが、「自分の運用全体を最適化して、その中でDCに最も適した部分を割り当てる」という考え方が重要だ。

利用金額は会社毎のDCの規約や本人の事情によって様々だろうが、一般に老後の生活資金はDCの運用だけでは足りない場合が多く、DC以外でも運用するケースが多いだろうから、DCでの利用額は可能な限り大きくするという考え方がいい場合が多いはずだ。トヨタ自動車のDCのように、従業員が自分自身の判断で拠出額を増やすマッチング拠出と呼ばれる制度を採用している場合もある。

DCがNISAと異なるのは、運用対象資産を通常は毎月1回入れ替える「スイッチング」ができることだ。通常は、頻繁にスイッチングする理由もないし、頻繁なスイッチングは得にもならないが、NISAのように一度売却すると税制優遇対象から外れてしまうことはないので、投資対象はNISAよりももう少し気楽に選ぶことができる。

DCとNISAでもう一点異なるのは、NISAでは一般にリテール向けに売られている商品から投資対象を選ぶが、DCでは、運営管理機関ごとに異なる商品がラインナップされていて、その中に、特にDC向けに設計された手数料が安い商品が含まれている場合があることだ。

会社はリテール向けの投資信託では、信託報酬の中から半分程度、販売会社に「代行手数料」という名目の手数料を運用会社が払うことが多く、この手数料が必要ない分、手数料を安くすることが容易なのだ。

また、もともとDBの企業年金運用では運用手数料はリテール向けの投資信託の数分の一である場合が多かった。会社と運営管理機関・金融機関との力関係によっては、DB年金に近い水準の運用手数料設定が、金融機関との交渉で可能になっている場合がある(会社のDC担当者がどの程度しっかりしているかにも依存する)。

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