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スクープレポート 特定秘密保護法案「官邸のアイヒマン(北村滋内閣情報官)」と呼ばれる男 本当の黒幕は公安の「妖怪」
週刊現代 プロフィール

「悪法」と名高い法案の強行採決が連日のように報道された。いったい誰が悪いのかを探ると、メディアに注目されないひとりの秀才が浮かび上がってくる。彼は警察をのさばらせる妖怪なのか—。

総理にも抵抗する

与野党の攻防が続いていた特定秘密保護法案が与党の圧倒的多数の賛成により可決した。

安倍内閣が数に物を言わせ、世論の支持をまったく得ていない法律を成立させたのである。

「どうしてここまで無茶をするのか。発足以来、安全運転をしてきた安倍政権なのに、反発がどんどん高まる法案に固執する理由が最後までわからなかった」(全国紙政治部記者)

誰が、何のために通過させたがったのか—この法案には、つねにこの疑問がついてまわった。

その黒幕の正体が、ついにわかった。

ある野党議員が明かす。

「それは、『官邸のアイヒマン』ですよ。安倍総理が絶大な信頼を置く内閣情報官の北村滋さんのことです」

北村氏は内閣情報調査室(内調)のトップとして、この法案作りに最初からかかわってきた。野党議員が続ける。

「自民党は維新を賛成に引き込むために、法案の附則に『設置検討』が明記されていた第三者機関について、安倍さんが『作るぞ』と内調に指示した。ところが4日に安倍さんが国会で『第三者機関』として発表したものは、第三者とはほど遠い、官僚による官僚のための『隠蔽機関』だった。

安倍さんの命令すら聞かず、第三者機関を骨抜きにしようとする首謀者こそ、この北村さんなんです」

後に詳しく見るように、この法律によって結果的に、警察庁の力は一気に増幅することになる。

「警察官僚としての北村氏は、所属する組織の目的を遂行するためには手段を選ばない。まさにナチスのアドルフ・アイヒマンですよ……顔も似ていますしね」(前出の野党議員)

アイヒマンは、1930~'40年代のドイツで、ユダヤ人の移住計画に関わり、数百万人のユダヤ人を収容所へ移送した、ナチスの親衛隊員である。

非道とも思える虐殺計画のような仕事すら、上司の命令に従い、淡々かつ粛々と進めた。

今回の北村氏の冷徹な仕事ぶりは、まさにこのアイヒマンを思わせるものだったと、先の野党議員は振り返るのである。

では、「官邸のアイヒマン」こと、北村滋氏とはどのような人物なのか。

1956年生まれの56歳。開成高校から東京大学法学部に進学した後、'80年に警察庁に入庁する。

警察官僚としてのキャリアは順調そのもの。32歳で警視庁本富士署長となった後、在仏日本大使館で一等書記官として勤務し、警察庁警備課長、警察庁外事課長などを歴任。

'06年からは、内閣総理大臣秘書官として、第1次安倍晋三政権を補佐した経験を持っている。

'11年には警察庁長官官房総括審議官を務め、同年12月、内調のトップ、内閣情報官に就任したエリート中のエリートである。

「内閣情報官」は、内閣の重要政策に関する情報の収集や分析などをとりまとめる役目を担っている。

「他の役所からは、ずいぶんいいカードを切ったね、と言われています。『安倍首相ごときに最大級のエースをつけるなんて』などと囁かれているくらいですよ」(元内調幹部)

ここで、内閣情報官が統括する「内調」について簡単に説明しておこう。

内調は、内閣総理大臣直轄の諜報機関で、いわば日本版CIA。約200名の人員が独自の人脈を駆使して、国内外の膨大な秘密情報を収集している。

「内調の仕事として諜報活動を行っている人間は、報告日の前日以外はフレックスタイム制で、各自の裁量に完全に任されています。

基本的にはわがままで妙に自信のある連中の集まりですから、チームプレーなど存在するはずもない。だからこそ、彼らをまとめるトップには、警察庁もそれなりの人間を送り込んでおり、エース級が就任したということは、内調の強化という意味もあります」(同)

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