猪瀬都知事の自己PR番組『東京からはじめよう』は、徳洲会5000万円疑惑を乗り切れるのか?

東京都が大株主(第3位)のTOKYO MX(地デジ9チャンネル)には『東京からはじめよう』という珍しい1時間のレギュラー番組があり、毎月第1土曜日の午後9時から放送されている。

メーンは猪瀬直樹都知事。いや、番組での肩書きは「作家、都知事」となっている。この辺りからして、市民感覚から相当ズレた番組だ。なぜ、公職者でありながら、作家の肩書きが先なのか? まるで都知事が副業であるかのようだ。あるいは、自分の都合によって肩書きを使い分けている印象を受ける。都職員であるなら兼業は許されない。

この番組の内容は「"東京"という街を軸とした様々なテーマを、各界を代表するゲストと語り合う」というもので、漠然としている。過去の放送をチェックすると、どうやら猪瀬氏が言いたいことを、好きなゲストと一緒に語り合うための番組らしい。ホスト役の猪瀬氏が隙のない服装で登場し、トークだけでなく、身振り手振りのパフォーマンスを繰り広げる。

9月に2020年の東京五輪が決定するまでは、五輪を招致することの意義を繰り返し力説した。ゲストとして有森裕子さんや太田雄貴さんらが登場。招致に反対し続けている都民もいるが、そんなことは一切お構いなしだった。

副知事時代から続く猪瀬氏の自己PR番組

都知事というのは、なんとも羨ましい立場である。傘下にある放送局を使い、自分の主義・主張を広く伝えることが出来るのだから。しかも、この番組は猪瀬氏の個人サイトにもYouTubeでアップされており、PR効果がバッチリ期待できる。ただし、TOKYO MXも公共の電波であり、放送法が適用されるのは言うまでもない。

安倍首相や各党代表でさえ、こんな便利な番組は持っていない。半面、実際にキー局にそんな番組が出来たら、視聴者の猛反発は避けられないだろう。一方的に主義・主張をアピールするのだから、放送法に抵触する疑いすらある。しかも、この番組は東京都が提供している番組ではなく、なぜかスポンサーは未公表なのだ。

なにより疑問なのは、この番組は猪瀬氏が2012年12月に都知事に就任する前、副知事の時代から放送されてきたことだ。しかも副知事時代のテーマの中には「ツイッター」「電子書籍」などもあり、自分の趣味を放送しているとしか思えない。

やはり副知事時代、「ホリエモンを生んだ原点」と銘打たれた回では堀江貴文氏がゲストに招かれたが、どこが"東京"で、副知事の仕事なのだろう。その後、猪瀬氏は都知事選で大勝したが、事前に公共の電波を使って自己PRをしていたと受け取られても仕方がない。

朝日新聞が11月22日付朝刊で、「徳洲会5000万円疑惑」をスクープしたあとも放送は続いている。12月7日に放送があった。ところが、なぜか通常とは違う「総集編『震災1000日を超えて・東京と日本の防災を考える」といった内容で、猪瀬氏の現在の姿はなかった。

都合の悪いときは出演しないのでは、まさに自己PR番組。特捜部出身のヤメ検弁護士あたりをゲストに招き、自分の問題をテーマにすれば、株を上げただろうに。そのほうが、都民のためになったはずだ。

2014年1月の『東京からはじめよう』では、今度こそ、徳洲会との関係をつまびらかにするべきではないか。1時間も放送枠があるのだから、相当のことが出来るだろう。ただし、それまで猪瀬氏が現在の地位に留まり続けていた場合の話ではあるが。

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