国民へのツケ回しを見過ごすな!安倍政権が続々打ち出す原発政策と事故処理「3つの落とし穴」
福島第一原発(2013年11月7日)[Photo] Bloomberg via Getty Images

原発事故の後始末の国民へのツケ回しに向けて、安倍政権が本格的に動き出した。

民主党政権が打ち出した「原発ゼロ」をご破算にして、原発を〈エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源〉として復活させる一方で、無制限だった賠償、除染、汚染水処理、汚染土の中間貯蔵、廃炉などを巡る東電の費用の負担責任に上限を設けて、足りない分を国民負担で穴埋めするという構想だ。

安全を確保したうえでコストが安いのならば、原発は再稼働させるべきだろう。賠償責任は巨額なので、なんらかの形でツケが国民に回ることも避けられないかもしれない。しかし、福島第一の事故で欠陥を露呈した原子力損害賠償保険を是正しないで安全を確保できたとは言い難い。国民負担を最小化する「破綻処理」抜きの東電救済も、間違った政策と言わざるをえない。

野党の追及を避けたかったのだろうか。特定秘密保護法案の採決強行に揺れた臨時国会が閉会した途端、容易には了解を得られそうにない原発・東電政策が続々と飛び出した。

安全対策は精神論。新設もタブー視しない「原発ゼロ撤回」

その第一は、「原発ゼロ」を撤回するエネルギー基本計画の見直しだ。経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(会長は三村明夫・新日鉄住金相談役)が13日の会合で原案に合意した。

「エネルギー基本計画に対する意見」と題した見直し案は、原発を〈燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である〉と位置付けた。

そして、今後の政策として〈原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する〉という方向性を示した。

一見もっともらしいが、どのように原発を選別するのか、いくつぐらい必要かには触れておらず、原発の新設さえタブー視しない方針となっている。

そのうえで、〈安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める〉と述べ、来春以降にずれ込むとみられている原発の再稼働を着実に進める方針を改めて強調した。

ところが、肝心の安全対策については、〈万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である〉と、具体策を何も明記せず、精神論にとどまった。

福島第一原発事故で賠償額が不足した原子力損害賠償保険の見直しに何ら言及していないだけでなく、いざ、事故が起きた時に周辺住民の避難が完了しない段階でベントが行なわれて放射性物質が撒き散らされることを防ぐ危機管理体制が構築されていないと指摘する声の存在も黙殺した内容なのだ。

さらに、使用済核燃料についても、〈世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠である〉と、同じく精神論を掲げただけ。耳触りのよい言葉が並んでいるものの、いつまでに、どういう解決をするのか、何ら具体的な対応を打ち出していないのだ。

新聞報道によると、同省はこの案を来年早々に閣議決定して、政府の方針とする考えという。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら