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次はアンタの番よ 逮捕された「徳洲会」ゴッドマザー猪瀬を許さない!

子供だましの借用証は〝支援者〟をも怒らせてしまった。いよいよ後がない知事はしかし、政治資金パーティを敢行。スピーチで「トゥモロー」を連発し、続投に意欲を見せた。この男に明日はあるか?

徳田家にとっては小物政治家

まるで報道陣の目を遮るかのように、シャッターの向こう側に停められたバンに向かって、黒いコートを着た婦人がゆっくりと歩を進める。

ストロボが光った一瞬、コートの襟をチラッと立てたが、コソコソする様子もなく、捜査員のエスコートを受けて、車中へ。

徳田ファミリー最後の大物、「徳洲会」副理事長の徳田秀子容疑者は、威風堂々と逮捕されたのであった。

全国紙社会部記者が言う。

「秀子容疑者は徳洲会のドン・虎雄容疑者の妻で、毅議員や、先に公選法違反(運動員買収)で逮捕された越沢徳美容疑者、スターン美千代容疑者の実の母。徳田ファミリーのナンバー2で、グループでは『ゴッドマザー』と呼ばれています」

逮捕容疑は最愛の息子、毅議員を当選させるため、6000万円の現ナマを地元・奄美の議員らにバラまくよう指示したという、豪快なものだった。

秀子容疑者は虎雄容疑者と同じ徳之島の出身。彼が大阪大学の医学部時代に学生結婚すると、以降は「医療改革のためなら人殺し以外、何でもやる」と猪突猛進する夫を支え続けた。

虎雄容疑者が金権選挙に手を染め、グループをどんどん拡大していくさまを一番近くで見続けたのが、秀子容疑者だったのだ。

「選挙は期日前の票を集めるのよ! あなたたち、甘いわよ!」

「どうして投票日の朝を狙わないのよ!?」

虎雄容疑者が'02年に難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)で倒れた後は、夫と築き上げたノウハウを駆使して、陣頭指揮にあたった。

かつて徳洲会の金庫番を務めた能宗克行元事務総長(業務上横領で12月3日に逮捕)によると、年収は少なく見積もっても8000万円以上。そのほか10億円近い株を所有し、移動は運転手つきのレクサスである。

夫に寄り添い、献身的に尽くす中で秀子容疑者が見たのが、病院建設にいかに政治力が必要か、選挙で勝つために現ナマがいかに大切かという現実。そしてカネにすり寄ってくる政治家たちの姿だった。

現在、窮地に追い込まれている猪瀬直樹都知事も、もちろんその一人である。

「秀子容疑者の逮捕は猪瀬のXデーに向けた重要なステップです。特に猪瀬が会見で公開した『借用証』が偽物であることを証明する貴重な『証人』として、特捜部は秀子容疑者を手中に引き込むハラです」(全国紙司法クラブデスク)

今、猪瀬氏が追い詰められている5000万円授受問題でも、ゴッドマザーは中心的な役割を果たしている。猪瀬氏が返却した5000万円を受け取ったその人が、秀子容疑者なのだ。

とんかつ屋の個室で札束を数えた後、秀子容疑者は紙袋に入った5000万円を持って帰宅し、大胆にも部屋の中に放置。ゴッドマザーにとって、5000万円は「その程度の金額」だということを意味している。

実際、特捜部による家宅捜索でこの5000万円を押収された際も、ゴッドマザーは実に泰然としていた。捜査員に「この5000万円は何か?」と聞かれた秀子容疑者は、

「猪瀬から返してもらったカネだ」

と、堂々と返答。これによって、猪瀬氏への5000万円提供が発覚したのである。

そもそも、徳田ファミリーにとって、猪瀬氏など政治家としてごくごく小物に過ぎないのだろう。

徳洲会の番頭として虎雄容疑者に30年つかえてきた能宗氏の回顧メモには亀井静香、鳩山由紀夫ら大物政治家の名前がずらりと並ぶが、中でも刎頸の友として知られるのが前都知事の石原慎太郎である。

虎雄容疑者の評伝『トラオ 徳田虎雄 不随の病院王』の著者でジャーナリストの青木理氏が回顧する。

「石原氏は虎雄容疑者について、『現代の英傑だな。自分の宿命を信じて、死ぬまで体を張って尽くすという強さ、存在感の大きさは、とても真似できるものじゃない。あんな人間はめったにいませんよ。ある意味じゃ、神の生まれ変わりだね』と、とにかく絶賛していた」

ALS発病後、葉山の病院に徳田容疑者を見舞った際には涙したという。

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