[サッカー]
田崎健太「里内猛が描く日本の未来図Vol.14」

里内は「6試合戦えたことで、いろいろな可能性を試させてもらった」と語る

大宮に足りなかった帰属意識

 金メダルは凄い。銀と銅は少し落ちるが同じぐらいの価値がある。しかし4位はグループリーグ敗退と大して変わらない――。

 これが里内の正直な思いだった。

 ちょっとした差を超えられなかった原因をいくつも見つけることは可能だった。
 中心選手の永井謙佑の打撲がメキシコ戦に響いた。永井が本調子ならば違った結果になったかもしれない。また、韓国は大会前の7月1日からJリーグ所属の選手たちを、様々な理由をつけて招集し、合宿していた。対して日本は7月14日までJリーグを戦い、そこから準備に入った――。

 しかし、本当に強いチームというのはそうしたものを際で乗り越える。日本はまだ力が足りなかったのだ。

 五輪代表チームが解散した後、コーチだった小倉勉から里内に電話が入った。大宮アルディージャからコーチとして誘われているという。
「大宮はどんなチームですか?」
 かつて大宮にいた里内に小倉は意見を求めたのだ。

大宮のクラブハウス“オレンジキューブ”の用具室には選手が履く色とりどりのスパイクが並ぶ

「知っているように、(J2に)落ちないことをメインにするクラブや。そして、こういうサッカーをやるというクラブのカラーが出しきれない。その問題の根っこには(選手たちの)帰属意識が希薄だというのがあるんかもしれん」

 同じさいたま市に浦和レッズという強烈な支持を受けるクラブがある。レッズの選手と比べると、大宮にはとりあえず1年ここでプレーするかという腰かけ的な雰囲気があった。

「現実問題として連勝が出来ない。1つ勝つと、引き分け、あるいは負ける。でも連敗はする。団結する何か、求心力みたいなものがない。メンタルのところに問題があるんちゃうかな」
 なるほどと小倉は頷いた。小倉は9月、大宮のコーチに就任した。